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「一人で死にたくない」わざと罪を犯し栃木刑務所に入った老女が海外で話題に

「一人で死にたくない」わざと罪を犯し栃木刑務所に入った老女が海外で話題に
photo AC

貧困と孤独に苦しむ81才の日本人女性が、刑務所に入りたいがために意図的に万引きをした。海外メディアがこの一件を記事として取り上げ、話題になっている。

 

刑務所生活に「安定」を見出す

 

アキヨ(仮名)というその81才の女性は、栃木女子刑務所で2度目の刑期を務めた。1度目も2度目も万引きで有罪になった。

 

刑務所生活では意外なことに「安定」を得た、という彼女。そのストーリーは、今の日本社会に生きる高齢者が直面する、大きな困難を浮き彫りにしていると海外メディアが報じている。

 

アキヨが最初に万引きで刑務所に入ったのは60代の時。盗んだものは食品だ。その頃からごく僅かな年金での生活が苦しく、家族のサポートも得られなかった。そのため、出所した後には再び万引きをし、栃木女子刑務所に入った。

 

「もしも経済的に安定していて、安楽に暮らせていたなら、あんなことは絶対にしなかった」海外メディアの取材を受けたアキヨはこう話す。

 

冷たい息子

 

アキヨは43才の息子と暮らしていた。だがその息子は彼女を厄介者扱いし、事あるごとに「家を出て行って欲しい」と言ったそうだ。貧困に加えて、このことが彼女の絶望感を深め、「生きていても意味がない。死にたい」と思うようになったという。

 

ちなみに、メディアによれば、栃木刑務所には約500人が収容されており、5人に1人が高齢者。その高齢者たちの入浴や食事といった基本的な生活サポートは、刑務所スタッフが行なっている。言ってみれば、高齢者ケアホームのような体制が整っている。

 

政府の2022年のデータによると、刑務所に入っている高齢女性の80%以上が、万引きなどの窃盗が理由での受刑だ。栃木女子刑務所のある職員は「多くの高齢受刑者にとって、刑務所内で死ぬ方が、外で死ぬよりいい」とメディアに話す。

 

アキヨの件は、中国のSNSで大きな話題になった。ある中国のユーザーは、コメントにこう書き込んでいる。

 

これが高齢化社会の実態だ。子供がいようがいまいが、大した違いはない。問題になるのはお金を十分に持っているかどうか、そして、自分の身の回りのことを自分でできるかどうかなのだ。

(了)

 

出典元:Hindustan Times:81-year-old Japanese woman purposely breaks law to go to jail: ‘Don’t want to die alone‘(2/2)
出典元:South China Morning Post:‘Don’t want to die alone’: Japan grandma breaks law to get free medical care, support in jail(2/1)

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