英・仏・カナダの首脳がネタニヤフ政権を批判、ガザ地区へ少量の人道支援物資が届く

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イスラエル軍によって封鎖されていたガザ地区へ、5月19日に少量の人道支援物資が届けられた。

トラック数台がガザ地区へ入る

イスラエルは3月2日以来、ガザ地区を完全に封鎖し、人道支援物資の搬入を阻止してきたが、5月18日には「必要最小限度」の物資の搬入を許可すると明らかにした。

そして5月19日には、支援物資を積んだ最初のトラックがガザ地区へ入ったという。

イスラエル軍は、ベビーフードを含む支援物資を積んだトラック5台が、カレム・アブ・サレム（ヘブライ語でケレム・シャローム）国境検問所を経由して、ガザ地区に入ったと説明した。

一方、パレスチナのメディアは、小麦粉や食用油、豆類を積んだトラック50台が、19日中にはガザ地区へ入ることを許可される予定だと報じ、イスラエルのメディアは、ベビーフードを積んだトラック9台が今後、数時間でガザ地区へ入る予定だと報じていた。

「大海の一滴」「PR活動」

国連の支援を担当するトム・フレッチャー氏は、トラックがガザ地区へ入ったことについて「歓迎すべき進展」としつつも、パレスチナ人を救済するには、より大規模な支援物資の流入を許可する必要があるとし、声明で次のように述べた。

「本日、我々のトラック9台がケレム・シャローム（カレム・アブ・サレム）検問所からの入国を許可されました。しかし、これは緊急に必要な物資のうち、大海の一滴に過ぎず、明日の朝からガザ地区へのより多くの支援物資の搬入が、許される必要があります」

一方、アメリカに拠点を置く人権団体「アメリカ・イスラム関係評議会」は、イスラエルが少数の援助トラックの入国を許可した決定は、ガザ地区での軍事作戦を継続するイスラエルの好意を買うための策略だと非難。声明で次のように述べた。

「イスラエル政府が少量の人道支援をガザ地区に許可するという決定（報道によると1日9台の援助トラックのみ）は、ガザ地区に包囲されている200万人のパレスチナ人の男女と子供たちが直面している飢餓の脅威を軽減するものではない。これは全く不十分で、ネタニヤフ率いる大量虐殺政権による、精神異常なPR活動だ。彼らはガザ地区を占領し、破壊し、生き残ったパレスチナ人を追い出すことを決意している」

各国の外相が支援の「全面再開」を求める

これに先立ち、ロンドンを訪問中の欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は19日、記者団に対し、ガザ地区の人道状況は「容認できない」とし、次のように語った。

「ここ2カ月間、ガザ地区には人道支援物資が全く届いていない。支援は困窮している民間人に即時に届けられなければならず、ガザ地区封鎖は今すぐ解除されなければならない」

また19日には西側諸国22カ国の外相が、共同で声明を発表、次のように述べた。

「人道的な支援者として、我々はイスラエル政府に対し、2つの明確なメッセージを送る。1つは、ガザ地区への人道支援の『全面再開』を直ちに認めること、そして国連と人道支援機関が独立して公平に活動できるようにし、人命を救い、パレスチナ人の苦しみを軽減し、尊厳を維持できるようにすることだ」

この共同声明には、オーストラリアやカナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、スペイン、イギリスを含む各国の外相が署名している。

英・仏・カナダの首脳も「制裁」を検討

さらにイギリスのスターマー首相、カナダのカーニー首相、フランスのマクロン大統領も19日、共同声明を発表。ガザ地区へ少量の人道支援物資が届けられたが、「全く不十分だ」と指摘し、次のように述べた。

「我々は常に、イスラエルがテロからイスラエル人を守る権利を支持してきた。しかし、今回のエスカレーションは全く不釣り合いだ。イスラエル政府による民間人への不可欠な人道支援の拒否は容認できず、国際人道法違反の恐れがある。ネタニヤフ首相率いる政府が、こうした言語道断な行動を続ける限り、傍観するつもりはない。イスラエルが新たな軍事攻撃を停止し、人道支援への制限を解除しない場合、我々はこれに対し、更なる具体的な措置を取る」

また首脳らは声明で「我々は、ヨルダン川西岸地区における入植地拡大のいかなる試みにも反対する。我々は、対象を絞った制裁を含む更なる措置を、躊躇なく講じる」と述べたという。

しかしイスラエル軍は19日にもガザ地区全域に激しい攻撃を加え、少なくとも84人のパレスチナ人が死亡。また南部のハンユニスでは、避難命令が出され、数多くのパレスチナ人が移動を余儀なくされた。（了）