イスラエル軍がカタールのドーハを空爆、「ハマス」最高幹部の殺害を計画

イスラエル軍は9月9日、「ハマス」の最高幹部を殺害するため、カタールの首都を空爆した。
目的は、ガザ地区での停戦交渉の妨害か
カタール政府によれば、イスラエル軍はドーハにある住宅街を空爆し、治安部隊員1人が死亡、数人が負傷したという。
また「ハマス」は公式声明で、ガザ地区の指導者であるハリル・アル・ハヤ(Khalil al-Hayya)氏は生き残ったが、彼の息子やその側近、ボディガードを含む5人が殺害されたことを認めた。
今回のイスラエルによる攻撃は、ガザ地区での停戦交渉の妨害、そして交渉担当者の殺害を狙ったものだとされ、「ハマス」も「停戦合意に至る、あらゆる可能性を損なおうとする、(イスラエルの)意図を改めて明らかにしている」と述べた。
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— Amir Ohana – אמיר אוחנה (@AmirOhana) September 9, 2025
アメリカの協力なしにイスラエルが行動?
カタールのMohammed bin Abdulrahman Al Thani首相は、イスラエルによるドーハへの攻撃について、「国家テロ」としか解釈できないと述べた。
一方、イスラエルのネタニヤフ首相は、今回の攻撃について、アメリカの協力なしに行ったと主張。イスラエルが「全責任を負う」と語ったという。
アメリカ・ホワイトハウスの報道官は、「トランプ大統領が、カタールをアメリカの強力な同盟国であり友好国と見ており、今回の攻撃について非常に遺憾に思っている」と発言。
また「トランプ大統領はカタールの首長と首相とも会談し、我が国への支援と友好関係に感謝の意を表し、カタールの領土でこのようなことが二度と起こらないことを確約した」と述べたという。
ヨーロッパ各国も非難
ヨーロッパ各国も、イスラエルのカタールへの攻撃を非難。フランスは「理由が何であれ容認できない」と述べ、イギリス政府も、この攻撃は地域全体の緊張を高めるリスクがあると述べた。
ドイツのヨハン・ワーデフール外相も、イスラエルによるカタールのハマス指導者への攻撃を「容認できない」と批判。「これはカタールの領土主権を侵害するものであり、イスラエルのギデオン・サール外相との電話会談で、この立場を明確に表明した」と強調した。
スイス外務省も、イスラエルに対し国際法の尊重を求め、「対話が優先されるべきであり、中東紛争に対する軍事的解決策はない」と述べたそうだ。
ベルギー政府も声明で「ガザ地区での紛争に対する軍事的解決策はなく、停戦交渉にはすべての当事者による新たな努力が必要だ」と訴えたという。
アイルランドのマイケル・マーティン首相は、「今こそ、エスカレーションを回避するために、影響力を持つ全ての人が、その力を最大限に行使すべき時だ」と主張した。
トルコのエルドアン大統領は、イスラエルによるドーハへの攻撃を非難し、「イスラエルの強盗行為に対し断固たる姿勢を取る」と述べたという。
他にもサウジアラビアやシリア、モロッコ、パキスタン、レバノン、イエメン、アルジェリア、オマーンなど数多くの国が、イスラエルの攻撃を非難している。
ガザ地区では41人のパレスチナ人が死亡
一方、9月9日には、ガザ地区に支援物資を届けるためにチュニジアに停泊していた「グローバル・スムード船団」の船に対し、ドローン攻撃が行われた。
「グローバル・スムード船団」は、主要船の1つである「ファミリー・ボート」がドローン攻撃を受けたと発表。乗船していた人にケガはなかったが、SNSに投稿されていた映像には、船上で爆発音がした後、「火事だ!」「助けて!」と叫ぶ声が記録されていた。
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この船団には、スウェーデン環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんなどの著名な活動家や、日本人の女性、安村美香子さん(62)も参加している。
またガザ地区の医療関係者によれば、9月9日の夜明け以降、イスラエル軍の攻撃により、41人のパレスチナ人の死亡が確認され、そのうち7人が人道支援物資の配給所付近で殺害されたという。(了)
出典元:Aljazeera:LIVE: Hamas says leaders survived Israel’s attack on Qatar’s Doha(9/9)