米当局、未成年者の喫煙が広がっているとして電子タバコ規制に向け動き出す
米国食品医薬品局(FDA)は、国内において未成年者の喫煙が急速に広まっているとして、電子タバコの規制に乗り出す方針を発表した。
未成年者へのフレーバー付き電子タバコ販売禁止
FDAが電子タバコの規制に乗り出す方針を伝えたのは、今月15日。
同局は今後メンソールタバコの禁止並びに、フレーバー付き電子タバコの未成年者に向けた販売規制を目指していく方針だという。
またFDAのコミッショナーScott Gottlieb氏は、未成年者へのフレーバー付き電子タバコの販売規制においては、早急に措置を講じることを目指しているとして、店頭ならびにオンラインでの販売制限を実施したい旨を伝えている。
米国で急増する未成年者の喫煙
今回の電子タバコ規制に向けた動きの背景にあるのは、米国で未成年者の喫煙が急増しているためだ。
米国では昨年から今年にかけ、高校生における電子タバコの喫煙者が78%も増加。
さらに中学生においても同数値は48%も増加しており、電子タバコを利用している中高生は今や全米で360万人にも上るという。
これについてGottlieb氏は「この数値は私の良心に衝撃を与えた」とし、その深刻さを表現している。
電子タバコが未成年者に広がる理由とは
しかし電子タバコの利用が、なぜこれほどまで急速に未成年者の間で広がっているのだろうか。
Gottlieb氏は、電子タバコの製品には“若者にとって魅力的”なものが存在することを指摘。
「これには子供向けのカートゥーンやアニメ化されたキャラクター、あるいはキャンディーやソーダのブランドといった子供向けのような味が付けられたものが含まれる」とし、若者受けの良さそうなタバコ製品に対する厳しい視線を送っている。
また電子タバコの中でもいわゆる“VAPE”と呼ばれ、フレーバー付きのリキッドを熱して水蒸気化させたものを吸うタイプのものは近年欧米諸国で非常な人気を博している。
そのフレーバーにはニコチンが含まれていないため、喫煙者の禁煙を後押しすることに貢献しているとの声が上がる一方、フレーバーはニコチンを混ぜることも可能だ。
米国では5人に1人の高校生がVAPEを吸っているとされており、この存在も未成年者の喫煙率の上昇に影響を及ぼしていると考えられそうだ。
メンソールタバコも禁止?
一方、今回の規制方針ではメンソールタバコの将来的な規制にも言及がある。
これについてもGottlieb氏は、未成年者のメンソールタバコの喫煙が背景にあるとしている。
Gottlieb氏は「35歳以上の喫煙者におけるメンソールタバコの喫煙率は3分の1以下なのに対し、半数以上(54%)の12~17歳の若い喫煙者はメンソールタバコを吸っている」と指摘し、メンソールタバコに対しても厳しい視線を送っている。
一方、今回の規制方針についてGottlieb氏は「我々は小売店に対し、それらを売ることができないと言っているわけではない」とし、規制の目的はあくまでも未成年者に対してタバコ製品を販売しないことであることを強調している。
専門家は未成年者の喫煙は脳の発達に影響を及ぼす可能性があることを指摘しており、また早期にニコチン中毒となることで喫煙から、さらにはドラッグの摂取へと至る可能性があるとの懸念を示している。
他方で大幅な規制が行われることになれば、タバコ産業に対しても打撃を与えるのは確かだ。
今回の規制方針がどのような方向で落ち着くこととなるのか、その行方を見守りたい。(了)
出典:CNN:High school e-cigarette use has jumped nearly 80%. Now, the FDA wants new regulations(11/15)
出典:NBCNews.com:FDA restricts all flavored e-cigarettes; moves to ban menthol(11/15)