英全土で学生らが大規模デモ、気候変動問題で政府に抗議して3人が逮捕される
イギリス政府の気候変動問題に対する取り組みが不十分だとして、多くの生徒らが抗議活動を行い、逮捕者まで出た。
きっかけは1人の女子生徒の行動
そもそもこのデモのきっかけは、1人のスウェーデン人少女、Greta Thunbergさん(16)の行動だったという。
彼女は気候変動に対するスウェーデン政府の対応が不十分だと主張。昨年9月から毎週、決まった時間に授業をボイコットし、1人で議会前に座り込み、パリ協定を順守するよう抗議活動を始めたそうだ。
彼女の行動は注目を浴び、その後多くの学生たちの共感を集め拡大。ドイツやベルギー、スウェーデン、スイス、オーストラリアでも学生らが町に出てデモ行進を行った。
さらに2月15日にはイギリスのロンドンやブライトン、スコットランドやウェールズ、北アイルランドなど、全土の60の町や市で1万5000人の学生が授業をボイコットし、デモ行進を行ったという。
With action, comes hope. This is how you reclaim your right to a future. #SchoolStrike4Climate 🌍 pic.twitter.com/wTQUvpFHHg
— Amnesty International (@amnesty) February 16, 2019
ロンドンで3人を逮捕
このデモは「Youth Strike 4 Climate」と呼ばれ、学生らはイギリス政府に対し、気候変動による緊急事態を宣言するよう要求。
また気候変動の問題に積極的に取り組むよう、そして状況の深刻さについて国民に知らせるよう求めたという。
さらにイギリスの教育カリキュラムに「環境の危機」を含めることや、投票できる年齢を16歳に下げ、若い人々が環境問題に関する意思決定に関与できるよう要求した。
そして学生らは「惑星B(他の惑星)はない」や「私たちの星を守れ」と書かれたプラカードを掲げ、各地の通りでデモ行進を行い、ロンドンの議会前広場では道路を封鎖までしたとか。
またウェストミンスターの学生のうち数人は、やはり議会前広場にあるロイド・ジョージ元首相やチャーチル元首相の像に登り、抗議活動を続けたそうだ。
このため警察は取り締まりを行い、15日にはロンドンで3人の学生を逮捕。そのうち2人(1人は19歳)はハイウェイの通行妨害の容疑で、もう1人(17)は公の秩序を乱した容疑で身柄を拘束されたという。
また15歳の少女も同じ容疑で一度は逮捕されたが、その後釈放されたと言われている。
Incredible #schoolstrike4climate today! Around ten thousand students shut down Parliament Square and Whitehall, occupied buses and made their voices heard! This government has got to go, we need action on climate now! #YouthStrike4Climate pic.twitter.com/FYwQqlSmpC
— Shabbir Lakha (@ShabbirLakha) February 15, 2019
BREAKING: the police have started arresting children for standing up for their future.
We just want justice. This is wrong.#YouthStrike4Climate #RebelForLife #ClimateJusticeNow pic.twitter.com/pTgTDWsLeC
— Extinction Rebellion (@ExtinctionR) February 15, 2019
メイ首相「授業の時間を無駄にしている」
SNS上でも子供をデモに参加させるべきかどうか、議論を呼んでいるという。今回のデモが強硬な活動家によってハイジャックされているとの懸念がある中で、親たちの意見も分かれているそうだ。
また議会からの圧力が強く、影響下にある学区では、子供たちが無許可に学校を休むことを親が許した場合、60ポンドの罰金が科される可能性があるとも言われている。
メイ首相は生徒らに学校へ戻るよう呼び掛けており、「このような混乱は教師の仕事の負担を増加させ、教師が準備した授業の時間を無駄にしている」と語ったという。
Thousands of students here !! Literally amazing !!! #fridays4future #youthstrike4climate I can’t believe it —- tears in my eyes xxxxxx pic.twitter.com/JSyR7iqPup
— zoe rasbash (@rsbsh_) February 15, 2019
若者の行動を称賛する声
これに対してGreta Thunbergさんは「政治のリーダーたちは、30年間も活動をせず、時間を無駄にしてきた」と反論。「このため少しずつ悪化している」とツイートした。
British PM says that the children on school strike are “wasting lesson time”. That may well be the case. But then again, political leaders have wasted 30 yrs of inaction. And
that is slightly worse.#schoolstrike4climate #FridaysForFuture #ClimateStrike https://t.co/PoSCXin3VN— Greta Thunberg (@GretaThunberg) February 15, 2019
またエネルギー省のClaire Perry大臣も若者の行動を擁護し、「情熱を持ち、懸念を抱いている若者を非常に(信じられないほど)誇りに思う」と発言。BBCの取材に対しても「40年前にこれが行われていたとしたら、私も参加していた(外に出ていた)でしょう」と述べている。
さらに緑の党のCaroline Lucas下院議員も、「今回の出来事は、今年起きたものの中で最も希望に満ちたもの」だと学生の行動を称賛。環境問題についても「もはや話す時間は終わった。今、行動すべき時だ」と発言した。
そして参加した学生の1人は「気候変動は本当に重要なこと。(略)私たちはしばしば沈黙していますが、気候変動のことになると、上の世代の間違いの代償を払わねばならないでしょう」とも答えている。
今回のような抗議活動は来月、3月15日にも予定されているという。(了)
出典元:The Guardian:‘The beginning of great change’: Greta Thunberg hails school climate strikes(2/15)
出典元:BBC:Climate strike: Schoolchildren protest over climate change(2/15)