英国でパブとして利用されていた建物から、魔女のものと言い伝えられている“小瓶”が発見され、話題となっている。

 

魔女生誕の地で発見された小瓶

 

魔女のものとされる小瓶が発見されたのは、英国イングランドのノーサンプトンシャー州に位置する村、ワットフォードにある一軒の建物だ。

 

現在は住居となっているこの建物はパブとして利用されていたこともあったが、かつては魔女として名を馳せた女性の生誕の地としても知られていた。

 

小瓶はその煙突の取り壊しを行う作業の際に発見され、ガラスで出来た瓶の中には釣り針にガラス片、液体、そして人間の歯が入っていたという。

 

発見の後、小瓶は住居の所有者によってロンドン考古学博物館の専門家のもとへと届けられ、調査の結果“魔女の小瓶”であることが正式に確認された。

 

“魔女の小瓶”の用途とは？

 

それでは今回発見された“魔女の小瓶”は、一体どのような目的で用いられていたというのだろうか。

 

その用途として考えられるているのは、小瓶が黒魔術のような他の魔女によってかけられる悪意ある魔術の効果を打ち消し、人々や土地を守るためのものであるということだ。

 

15世紀から19世紀にかけてはそのような目的によって作製された“魔女の小瓶”が広く利用されており、中でも戦争や不作、社会の変動といった不安定な時代には多くが用いられていたとされる。

 

 

また今回発見された小瓶には釣り針やガラス片、人の歯といったものが入れられていた一方、通常小瓶に入れられる物は様々で、尿とピンが入れられていることもよく見られるという。

 

この小瓶に尿とピンが入れられる理由としては、民間伝承において魔女が尿の中で溺れたという話が信じられているということがある。

 

考古学者のEamonn P. Kelly氏はこれについて、「尿が魔女を小瓶の中へと引き寄せ、魔女は鋭いピンによって捕らえられてしまった」としている。

 

さらに小瓶が煙突から発見された理由としては、人類学者のChristopher C. Fennell氏によると、魔女は住居に侵入する際に煙突のような通常では考えられない経路を利用することが多いため、とのことだ。

 

小瓶の発見地で生まれた魔女との関連は？

 

一方注目すべきは、その小瓶が発見された建物が、後に米国で最も有名な魔女の一人として知られることとなり、“サラトガの魔女”との異名を持つAngeline Tubbsの生誕の地であるということだ。

 

1761年頃に同地で生まれたとされる彼女は、英国人の夫と結婚した後、15歳で夫の赴任地である米国ニューヨークへと移住。

 

占い師としての活動をする中で名を知られるようになると同時に、黒魔術を行っていたとも考えられている。

 

 

しかし今回発見された小瓶は、1830年頃に制作されたものとみられている。

 

これについて英国ハートフォードシャー大学で民間伝承と歴史を専門とする専任講師Ceri Houlbrook氏は、「残念ながら（小瓶は）、Angeline Tubbsと時代を同じくしていない」とコメント。

 

1830年頃にはAngeline Tubbsは既に米国へと渡ってしまっているため、やはり小瓶が彼女の手によって制作されたものであることは考えにくいようだ。

 

ただHoulbrook氏は、「それは確かに大方の“魔女の小瓶”と比較し、より近年のものだ」とも言及。

 

英国イングランド東部では、1644年から1646年という僅かな期間で300人もの人が“魔女”との疑いをかけられ処刑されるも、それに際し行使された法律は1736年に無効となっている。

 

それから約100年が経過し産業革命のただ中にあった1830年頃に、“魔女の小瓶”が尚設置されていたというのは、いずれにせよ非常に興味深いことだ。

 

 

100年以上の時を経て、偶然発見された“魔女の小瓶”。ひょっとしたら世界の各地に、今も魔女の小道具は眠っているのかもしれない。（了）

 

出典：BBC：Ancient anti-witchcraft potion found at old Northamptonshire Pub（10/31）

出典：Ancient Origins：An Anti-Evil Witch Bottle Found Hidden In Pub（10/31）