バンクシーの新作、キリスト生誕を表した作品がパレスチナのホテル内に登場
イギリス人アーティストのバンクシー氏の新しい作品が、パレスチナ自治区にあるホテルに登場した。
キリストが誕生する場面
その作品が描かれたのは、ヨルダン川西岸のベツレヘム市内にある「ザ・ウォールド・オフ・ホテル」だ。
そこにはイスラエルが作った分離壁の一部を背景に、イエス・キリストの誕生する場面が、聖母マリアやヨセフと共に描かれていた。
作品のタイトルは「ベツレヘムの傷跡」。背景の分離壁には爆弾のようなものが貫通した跡があり、それが輝く星の形になっている。
また分離壁の下の方には、「愛」や「平和」といった言葉が英語やフランス語で書かれているという。
バンクシー氏のインスタグラムにも、すでに作品の写真が投稿され、彼自身はこの作品を「改良された降誕」と呼んでいる。
ヨルダン川西岸に住む人々を表す
そのホテルは、イスラエル側が建設したベツレヘム市を囲む分離壁の前に建てられており、バンクシー氏とホテルのオーナーが共同で経営しているとされ、「世界一眺めの悪いホテル」としてオープンした。
イスラエル側はこの分離壁について、テロ攻撃から守るために必要だと主張。しかしパレスチナ側は、壁が彼らの土地を奪う装置だとしており、国際司法裁判所も壁を違法と認定している。
このような状況にもかかわらず、アメリカは11月に従来の見解を変更し、ヨルダン川西岸にあるイスラエルの入植地は国際法違反とみなさないと発表。これにより、パレスチナ人の土地がさらに強引に奪われる事態となっている。
ホテルのマネージャーであるWissam Salsaa氏は、今回のバンクシー氏の作品について次のように述べている。
「バンクシーは、ヨルダン川西岸の人々がどのように暮らしているのかを示すために、クリスマスの物語を使いました。人々にもっとよく考えてもらうために、ベツレヘムやクリスマスの物語を示すことは、素晴らしい方法です」
バンクシー氏はこのホテルにも作品を残しているが、イスラエルが建てた分離壁にも多くの作品を直接描いているという。(了)
出典元:BBC:Banksy ‘nativity scene’ appears in Bethlehem hotel(12/21)