ハッカーが武漢ウイルス研究所などをターゲット、職員のメールアドレスなどを盗む
新型コロナウイルスが武漢の研究所で作られた可能性について、さまざまな憶測が流れているが、そんな中でハッカーが研究所などをターゲットにしているとの情報が伝えられている。
ハッカーらが武漢研究所やWHOを標的
そもそも新型コロナウイルスが、どこで発生したのかについてはいまだに明らかとなっておらず、一部の人々や国の研究機関などは、中国の武漢にあるウイルス研究所で開発され、そこから漏れ出たと疑っている。
ただ武漢ウイルス研究所のYuan Zhiming所長は、この疑惑を否定。世界保健機関(WHO)やその他の専門家も、新型コロナが研究所から漏れ出た証拠はないとしている。
このためハッカーらが真実を明らかにしようと、この研究所やWHOなどの複数の機関をターゲットにし、活動を行っているという。
スタッフのメールアドレスなどを入手
ワシントン・ポスト紙によれば、ハッカーらは武漢の研究所や組織にハッキングを行い、所属するスタッフのEメールアドレスやログインパスなどを入手、それらをテレグラムやツイッター、掲示板などでシェアしたり、ウェブサイトに投稿したりしているという。
実際、WHOもすでに約450人のスタッフの、使われているメールアドレスやパスポートなどがリークされたと報告。ただしそれらの情報は最新のものではないため、システムは危険に晒されていないとしている。
またアメリカの非営利組織「SITE Intelligence Group」によれば、他にも米国立衛生研究所や米疾病管理センター、世界銀行、ビル&メリンダ・ゲイツ財団もハッカーらの標的になっているという。またワシントン・ポストはハッカーらが、約2万5000人の職員のメールアドレスやログインパスをリークしたと伝えている。
もっとも実際、ハッカーらがシステムをダウンさせるようなサイバー攻撃を行ったのは、明らかになっていない。
ただリークされた情報は、極右グループが武漢の研究所でウイルスが作られたとする「陰謀論」を推し進めるため、または嫌がらせのキャンペーンを行うために使ったと見られている。SITEのRita Katz氏も次のように述べている。
「ネオナチや白人至上主義者らが、そのリストを利用し、彼らが活動する場で積極的に公開しました。そのデータを使うことにより極右の過激主義者らは、陰謀論をシェアしながら、いやがらせのキャンペーンを行うよう求めています。これらの疑われるEメールの公開は、covid-19のパンデミックを武器として利用する極右勢力の数カ月に渡る戦略の一部なのです」
ベトナム政府にも疑惑の目が
これとは別に、ベトナム政府もハッキング行為を疑われている。実は最近、ベトナム政府と繋がりのあるハッカーが、中国の機関に侵入しようとした報告があったそうだ。
アメリカのサイバーセキュリティ会社の「FireEye」によれば、ハッカーらは中国の緊急事態省や武漢市で働くスタッフの個人的、または仕事で使うEメールのアカウントを漏洩させようとしたという。
ただしベトナム外務省のスポークスマンであるNgo Toan氏は、その疑惑について「根拠のないもの」として否定している。(了)
出典元:South China Morning Post:Coronavirus: Wuhan lab at centre of conspiracy theory targeted by hackers(4/24)
出典元:Mirror:Hackers target Wuhan lab in bid to uncover ‘truth’ about coronavirus(4/28)