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新型コロナ終息後も清浄な空気を保つことは可能?新たな研究で明らかに

新型コロナ終息後も清浄な空気を保つことは可能?新たな研究で明らかに
※画像はイメージです(Unsplash)

新型コロナウイルスの感染拡大は各国で多大な犠牲者を出すと共に、世界の経済活動にも甚大な被害を与えることとなった。

 

その一方、経済活動が止まり人間が自宅から出なくなったことから、多くの国において大気汚染が改善されるなど、自然環境には良い変化もみられた。

 

この変化はコロナ禍が収束し、経済活動が復活すればそれと共に消え去ってしまいそうに思えるが、案外そうではないかもしれない。

 

新たな研究により、新型コロナウイルス収束後も空気を清浄に保てる可能性があることが明らかとなったのだ。

 

2050年までに大気汚染を抑制する道筋が描かれる

 

この研究を明らかとしたのは、米国カリフォルニア州ロサンゼルスに位置するカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者ら。報告書はオンラインジャーナル「Nature Sustainability」に掲載された。

 

これにおいては、2050年までにカリフォルニア州が劇的に二酸化炭素の放出を削減し、大気汚染を抑制させることを可能とする行程が示された。

 

さらに研究においては、“ネットゼロエミッション”の下で大気の質がどのように変化するのか分析を行うため、モデルを作成。

 

より清浄な空気が公衆衛生にもたらす影響を評価するため、そのモデルと疫学に関わるデータや情報を関連付けて研究を行った。

 

するとこの行程を実行することにより、大気汚染に関連する疾患により毎年カリフォルニア州で発生している1万4000人もの人の早すぎる死を防ぐこと、さらには気候変動を縮小させることまでもが可能であることが判明したという。

 

尚“ネットゼロエミッション”とは“カーボンニュートラル”とも呼ばれ、人為的に排出される二酸化炭素量と植林などにより吸収される二酸化炭素量を等しくさせることを意味する言葉だ。

 

また大気汚染は呼吸疾患や心血管疾患、神経障害、癌、さらには妊娠への異常といった多くの健康問題と関連しているとされる。

 

※画像はイメージです(Pexels)

全世界規模では困難でも地域を限定すればより実現に近づく?

 

一方、国連気候変動政府間パネルは地球温暖化による最も深刻な影響を回避するため、産業革命前の時代の気温と比較し、2100年までの地球規模での気温上昇を華氏3.6度(摂氏2度)までに抑える必要があることを訴える。

 

またこれを達成するためには、人間による二酸化炭素の放出を限りなくゼロに近づけることが求められており、放出されたものについても回収し貯蔵する必要性があるとしている。

 

この目標を全世界的に達成するというのは、当然ながら至難の業だ。

 

これに対し今回の研究で示されたのは、既存の政策と技術の下で米国カリフォルニア州において2050年までに、どのようにこの達成ができるのかを示すもの。

 

全世界規模ではなくカリフォルニア州という限定された範囲に限ったことで、より現実的に実現しやすい道筋を示すものとなった。

 

カリフォルニア州にかかるゴールデン・ゲート・ブリッジ(Pixabay)

大気を清浄に保つことは公衆衛生上の恩恵に

 

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の教授で、今回の研究の筆頭著者の一人であるYifang Zhu氏は今回の研究結果に関し、より清浄な空気と健康的な生活のために必要なのは新型コロナウイルスの世界的流行ではない、と指摘。

 

さらに「気候(変動)に対する対策は、より清浄な空気を生み出すことにより地方や地域規模で人々に直接的な恩恵を与える」などとしている。

 

これについては同じく今回の研究に携わったカリフォルニア大学ロサンゼルス校の元研究者で、現在は米国エネルギー省の国立研究所であるパシフィック・ノースウエスト国立研究所に所属するBin Zhao氏も、清浄な空気の重要性を説く。

 

「我々の州において二酸化炭素排出量を削減させるということは、世界規模での気候変動のスピードを鈍化させるのみに留まらない。より重要なのは、(二酸化炭素排出量を削減させることで)空気の質を高め我々の地域のコミュニティに暮らす人々の健康を守ることだ」

 

ロックダウンにより人通りの少なくなったカリフォルニア(Facebook / Kevin Desla)

 

大気汚染を抑制させるための道筋を示すと共に、清浄な空気が多くの人々の健康を守ることを伝えた今回の研究。

 

新型コロナウイルスに罹患した際の死亡率が大気汚染によって高まるとする研究結果等も示される中、不幸中の幸いで、より清浄な空気を手に入れた我々が今後それをどのように守っていくのか、今こそ考えるべき時なのかもしれない。(了)

 

出典:Phys.Org:Will our clean air last after COVID-19? Study says it’s possible(5/5)

出典:Tech Explorist:Scientists say it is possible to maintain clean air last after COVID-19(5/5)

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