ヴァージン・ギャラクティック、NASAと共同で民間利用のための“超音速機”の開発に乗り出す
ヴァージン・グループ傘下の宇宙旅行会社、「ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)」が民間利用を目的とする超音速旅客機の開発のため、NASAと協力関係を結んだことが明らかとなった。
民間利用を目的とする“高マッハ数の旅客機”
ヴァージン・ギャラクティック社が今月5日に発表した声明によると、NASAはヴァージン・ギャラクティック社とその子会社で宇宙船の製造を手掛ける「The Spaceship Company」との間に“Space Act Agreement”と呼ばれる協定を締結。
“Space Act Agreement”とは、航空宇宙法によって認められるNASAと民間企業との間に結ばれる協定のことで、ヴァージン・ギャラクティック社によると今回のものは“将来的な民間利用のための技術的に実現可能で高マッハ数の旅客機を生み出すため、米国の取り組みを前進させる”として、両者の協力関係を発展させる目的で締結されたという。
これについてヴァージン・ギャラクティック社のCEO、George Whitesides氏は声明で“これは航空技術の未来における発展を支えるヴァージン・ギャラクティックとThe Spaceship Companyにとって、重要な協力関係の始まりだ”とコメント。
両者の協力関係が、“米国の競争力を強化させる新たな技術的な歩みを前進させることを可能とさせる”、などとした。
超音速航空機はどのようなものに?
それではヴァージン・ギャラクティック社とNASAが開発しようとしている“高マッハ数”の旅客機とは、一体どのようなものになるのだろうか。
これについてヴァージン・ギャラクティック社は声明において、“顧客満足度と環境に対する責任を重視しつつ、次世代の安全で効率的な高速での空の旅のための旅客機の開発を追求”するとしている。
また同社は2017年、時速3700キロ(約2300マイル)を超えるマッハ3からマッハ5の速度で飛行する航空機の開発に関心を寄せていることをも明らかにしている。
他方でNASAは既に“X-59”と呼ばれる超音速機の開発に自ら取り組んでいる。
それにも関わらず今回ヴァージン・ギャラクティック社との間で締結を結んだ背景には、民間と商用での利用に導入される超音速航空機において、持続可能性を担保する道を模索するということにあるようだ。
宇宙旅行ビジネス中心の中で超音速旅客機開発に乗り出す理由とは?
一方、ヴァージン・ギャラクティック社がその事業の中心に置くのは宇宙旅行ビジネスだ。
同社は再使用可能な宇宙船“SpaceShipTwo”の開発を行っていることで知られる。
そのような中で今回NASAとの協力により超音速旅客機の開発に乗り出す理由として、Whitesides氏は声明でこう説明する。
“我々は商業用としての宇宙飛行事業と同時に、これを投資を続けるに値する非常に大きな成長が期待できる分野であると見ている”
ヴァージン・ギャラクティックとNASAが共同で超音速旅客機の開発に取り組むという今回のニュース。昨今はハイパーループの新たな計画なども伝えられ、陸空双方において“超高速”での輸送計画が進んでいるように思えるが、どの輸送手段がいち早く実現するのか楽しみに待ちたいところだ。(了)
出典:Space.com:Virgin Galactic, NASA teaming up on superfast ‘point to point’ flight(5/6)
出典:TechCrunch:Virgin Galactic is partnering with NASA to develop supersonic point-to-point air travel(5/5)
出典:Daily Mail:Virgin Galactic teams up with NASA to develop ‘high-Mach’ aircraft that could eventually transport civilians at supersonic speeds(5/6)