【国家安全維持法】香港の図書館から民主派の本が取り除かれる
香港にある公共の図書館から、民主派の人々によって書かれた本が取り除かれていることが明らかとなった。
少なくとも9冊の本が取り除かれる
反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」が、6月30日に香港で施行された。
この法律に違反した者は最高で無期懲役となり、すでに香港警察も積極的にデモの取り締まりを始めている。ネットにも武装した警察が人々を無理矢理拘束していく様子が投稿されている。
またメディアに対しても大胆になっており、「Press」と書かれた報道関係者がウォーターキャンノンの放水に狙い撃ちされる様子も撮影された。
こうした中、South China Morning Postによれば、すでに公共の図書館からは民主派の本が取り除かれ、少なくとも9冊が利用できなくなり、または「審査中」との印が貼られているという。
民主派の活動家が抗議
取り除かれた本の中には、民主派の活動家であるJoshua Wong(黃之鋒)さんや、立法会議員のTanya Chan(陳淑荘)さんなどが書いたものも含まれていたそうだ。
この事態を受け、Wongさんは7月4日にツイッターで「新しい法律は、中国本土と同じスタイルの検閲を課している」とし、「実際の本の禁止へ、あと一歩のところまで来ています」と主張。
さらに「香港は今、21世紀の(ジョージ)オーウェルの社会になっています」と述べている。
図書館を運営している当局は、他にも新しい法律に違反している書物がないかどうか、今後検閲作業を行うことになると述べている。
2/ Under the new law, it is one step away from the actual book banning. Together with other restrictions, such as bans on Lennon Wall displays at restaurants and "Conscience" stickers , Hong Kong now live in an Orwellian society of the 21st century.
— Joshua Wong 黃之鋒 😷 (@joshuawongcf) July 4, 2020
海外に拠点を移す団体も
この「国家安全法」が可決する前、民主派の活動家であるJoshua Wong (黃之鋒)さんやAgnes Chow (周庭)さん、Nathan Law (羅冠聰)さん、Jeffrey Ngo (敖卓軒)さんは所属していた活動団体「デモシスト(香港衆志)」から脱退したと表明。
これは仲間が警察に拘束されるのを恐れたためで、彼らは今後、団体としてではなく、個人として活動を続けていくと述べている。
一方、別の民主派の活動団体「Studentlocalism (學生動源)」は、今後海外を拠点にして活動を続けていくと発表。すでに新しい事務所を、台湾やアメリカ、オーストラリアなどに開設したと述べている。
また「The Hong Kong National Front (香港民族陣線)」も、地元の事務所を閉鎖。台北やイギリスの事務所が、活動を引き継ぐことになると発表した。
さらに7月2日には、香港の民主化デモで中心的な役割を果たした活動家、Nathan Law(羅冠聡)さんが香港を離れたと明らかにしている。(了)
出典元:BBC:Hong Kong security law: Pro-democracy books pulled from libraries(7/5)
出典元:Taiwan News:3 pro-democracy groups opt to disband as Hong Kong security law passes(6/30)