ローマ教皇、キーウよりモスクワ訪問を希望
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ローマ教皇にキーウを訪問するようにと要請していたそうだが、教皇はむしろモスクワ訪問を望んでいる。イタリアメディアのインタビューを受け、すぐにウクライナに行く気はないことを明らかにした。
プーチン大統領に会談申し入れ
インタビューを行った「Corriere della Sera」紙によれば、ローマ教皇は「象徴的な」ウクライナ訪問には今のところ興味を持っていない。訪問要請は何度もあったらしいが、教皇の回答は一貫していたとのこと。インタビューの中ではこう話している。
「まだ私がキーウに行くのは早すぎます。まだです。Michael Czerny枢機卿とKonrad Krajewski枢機卿の2人を使節として派遣し、Krajewski枢機卿などはすでにキーウに4回訪れていますが、私自身はそこに行くべきではないと思っています。まだ早い。最初にモスクワに行かなければなりません。何よりも先に、プーチンに会いたいのです」
教皇は、すでにプーチン大統領に会談を申し入れている。だが……
「まだ返答を受け取っていません。プーチンは私と会えない事情があるか、あるいは今の時期には会いたくないのかもしれません。ただそれでも、我々は会談を要求し続けています」と教皇は話す。
「ロシアの門前で吠えるNATO」
ローマ教皇は、多くの西側メディアのように、一方的に「プーチン=悪」とは決めつけていないようだ。インタビューの中で、プーチンが今回のウクライナ侵攻を開始した理由について尋ねられた教皇は、「プーチンの怒りの原因について知るすべはないのですが」と前置きした上で、「ロシアの門前で吠えるNATO」の態度が「おそらく一つの要因ではないか」と言っている。
また、今回のウクライナ紛争を、1994年のルワンダ虐殺になぞらえ、こんな発言もしている。
「こんな残酷なことを止めさせないでいることはできません。25年前のルワンダで、我々は同じ経験をしているのです」
ルワンダ虐殺は、ルワンダ政府が反政府的な自国の民族(ツチ族)を虐殺した事件。外国に攻め込まれて起こったことではない。それを「同じ経験」と言ったローマ教皇は、2014年以来ウクライナ国内で続いていた紛争についても、忘れていないのではないだろうか。(了)
出典元:National Catholic Register:Pope Francis Says He Wants to Meet Putin in Moscow to Discuss Ukraine War(5/3)
出典元:Corriere Della Sera:Pope Francis: «I am ready to meet Putin in Moscow»(5/3)
出典元:Wikipedia:ルワンダ虐殺