あの「ボルシチ」の調理法が、ユネスコの無形文化遺産に登録される
国連のユネスコ(教育科学文化機関)は先日、料理の「ボルシチ」を緊急の保護が必要な無形文化遺産のリストに加えた。
ウクライナの調理法を認定
「ボルシチ」は通常、ビーツとジャガイモなどで作られるスープで、ウクライナの国民食とされている。
ユネスコは7月1日、ロシアによるウクライナへの戦争が、「ボルシチ」の調理を「脅かしている」とし、ウクライナの調理法を無形文化遺産のリストに登録したと明らかにした。
ウクライナの文化大臣であるオレクサンドル・トゥカチェンコ氏は、この決定について「ボルシチを巡る戦争での勝利は、われわれのものだ!」と述べている。
一方、ロシア外務省の報道官マリア・ザハロワ氏は、この決定をあざけり、「ロシアのボルシチは守られる必要がない」などと述べたという。
🔴BREAKING: Culture of Ukrainian borscht cooking inscribed on the List of Intangible Cultural Heritage in Need of Urgent Safeguarding.
This #IntangibleHeritage is threatened by the fragmentation of communities due to war but is a symbol of hope for them.https://t.co/ksqkoSTMjD pic.twitter.com/idcVcR7R8t
— UNESCO 🏛️ #Education #Sciences #Culture 🇺🇳😷 (@UNESCO) July 1, 2022
SNSで議論され「ボルシチ戦争」に
「ボルシチ」はボリュームたっぷりのスープで、通常はビーツで赤く着色されるが、緑や白の種類もあるという
またウクライナは「ボルシチ」を自国の国民食とみなしているが、ロシアをはじめ旧ソ連諸国やポーランドでも広く食べられているとか。
そのため「ボルシチ」の起源には諸説があり、原産地や料理名の綴り、肉の有無、スープの上に乗せるサワークリームの有無などにより、様々な主張が対立してきたそうだ。
近年では、ウクライナ料理なのかロシア料理なのかがSNSで激しく議論され、「ボルシチ戦争」とも呼ばれるほど激化していた。
2020年にウクライナが申請していた
2020年、ウクライナはこの料理を作る文化を、ユネスコの無形文化遺産に申請し、2023年には登録の決定がなされる予定だったという。
しかし、ロシアがウクライナに侵攻し、この料理の伝統に「負の影響」を与えたため、決定プロセスが早まったと、ユネスコはプレスリリースで発表している。
「武力紛争によって、この料理のための調理や地元野菜の栽培ができなくなっただけでなく、この料理を実践するために人々が集まることもできなくなり、地域社会の社会的・文化的な幸福が損なわれている。これらの要素の実現可能性が脅かされている」
ロシアの報道官、マリア・ザハロワ氏は以前、明らかに酔っ払い、戦争の動機が「ボルシチ」にあるなどと主張していた。(了)
出典元:BBC:Borsch soup in Ukraine added to Unesco endangered heritage list(7/1)