米・バイデン大統領が警告、ロシアの戦術核の脅威は「リアルだ!」
アメリカのジョー・バイデン大統領は、ロシアによる戦術核兵器の使用に関する脅威について、自らの見解を述べた。
カリフォルニア州で支援者に語る
バイデン大統領は6月17日、ロシアがベラルーシに、戦術核兵器を初めて搬入したとのプーチン大統領の発表に対して、「まったく、無責任だ!」と非難したという。
また6月19日に、カリフォルニア州を訪れたバイデン大統領は、支援者を前に次のように語ったそうだ。
「2年ほど前、私が、干上がるコロラド川を心配してここに来た時、皆は私が狂っているかのように私を見た。(現在、コロラド川はかなり水位が下がっている)そしてプーチンが戦術核兵器を使うことを心配すると言った時も。彼らは同じように私を見た。(しかし)それはリアルだ」
広島・長崎の原爆の3倍の威力
先週、ベラルーシのルカシェンコ大統領は、自国内にロシアの戦術核兵器を搬入する作業を開始したと述べた。
また戦術核の一部は、1945年にアメリカが広島と長崎に落とした原爆の3倍の威力があると語ったという。
この配備は、ソビエト連邦崩壊後、ロシアがこのような戦術核(戦場で使用可能な、短距離で威力の低い核兵器)を初めて国外に移したケースとなる。
「戦争研究所」はリスクが低いと評価
一方、アメリカのシンクタンンク「戦争研究所(ISW)」は、ベラルーシにおける戦術核配備のリスクについて、バイデン大統領とは異なる見方をしている。
最新の分析で「戦争研究所」は次のように報告している。
「ISWは以前から、ロシアがベラルーシの事実上の支配を強化するために、ベラルーシに戦術核を保持する可能性が高いと評価していたが、この配備がウクライナの戦場に影響を与える可能性は極めて低いと主張している」
ウクライナ全土に攻撃
一方、ロシア軍は6月19日夜から20日未明にかけて、ウクライナの首都キーウや、西部の都市リヴィウなど、全土に対し大規模なミサイル攻撃などを行った。
ウクライナ軍によれば、首都のキーウでは35機のイラン製ドローン「Shahed」が飛来し、防空網によって検知され、32機が破壊されたという。死傷者が出たとの報告はなされていない。
また西部のリヴィウでも、「重要なインフラ」の一部が攻撃され、炎上したそうだ。この攻撃が空爆によるものか、ミサイルかは分かっていないが、やはり負傷者などの報告はない。
南部のザポリージャ州も、ここ最近ロシア軍の攻撃の標的になっており、空襲警報が鳴り響いたという。(了)