プレス機でさまざまな製品を押しつぶす「iPad」の新CMに、批判が殺到
アップル社が新たに発売した「iPad」の広告に、多くの批判が寄せられているという。
薄型「iPad」の新しい広告
アップル社のCEOであるティム・クック氏は5月7日、新しい「iPad」の広告を発表した。
その広告では、ピアノやメトロノーム、本や絵の具の缶、彫刻、ギター、アーケードゲームなど、人々が作り上げたさまざまな製品が、油圧式プレス機で押しつぶされる様子が映っていた。
やがてプレス機が持ち上げられると、さまざまな製品をまとめたような存在として、新しい「iPad Pro」が姿を現した。そのCMがこちら。
Meet the new iPad Pro: the thinnest product we’ve ever created, the most advanced display we’ve ever produced, with the incredible power of the M4 chip. Just imagine all the things it’ll be used to create. pic.twitter.com/6PeGXNoKgG
— Tim Cook (@tim_cook) May 7, 2024
芸能人からも批判の声
人間が作ってきた数々の製品を、厚さ5mmの「iPad Pro」に押し込めるといった発想について、SNSではさまざまな意見が寄せられたという。
俳優のヒュー・グラントさんはSNSの「X」において「この広告は、シリコンバレーのご厚意により、人間の経験の破壊を表している」と皮肉交じりに投稿。
またAIの影響を批判してきたアメリカの映画製作者・ジャスティン・ベイトマン氏も「なぜアップルは芸術を潰すような広告を出したのか?テクノロジーとAIは、芸術と社会全般を破壊することを意味する」と投稿した。
「スティーブ・ジョブズなら…」
イギリスのマーケティング代理店「インクリング・カルチャー」のクリストファー・スレビン氏も、LinkedInに次のように投稿している。
「新しいiPad Proの広告は、驚くべきものですが、私たちの創造性がデジタルのスクリーンに限定され、テクノロジーの容赦ない進歩の下で、すべての物理性が押しつぶされる未来を暗示しています」
またシリコンバレーの投資家であるポール・グラハム氏も「X」において「アップルの共同創設者、スティーブ・ジョブズなら、あの広告は配信しなかっただろう。彼は見ているのも辛かっただろう」と投稿した。
その後、アップル社は、広告の判断が誤っていたとして謝罪。現在、動画はクックCEOのSNSアカウントで公開されているが、アップル社はテレビでCMを放送する計画をキャンセルしたという。(了)
出典元:The Guardian:Apple apologises for iPad ad criticised as ‘destruction of the human experience’(5/9)