毒性の強い新種の薬剤耐性菌、米を含む16カ国で確認
世界保健機関(WHO)は、新しい報告書の中で、毒性の強い危険な細菌が見つかったと明らかにした。
抗生物質に対して耐性を獲得
その細菌とは、「Klebsiella pneumoniae (hvKp)」と呼ばれ、薬剤耐性菌の一種で、土壌や水などの環境中や、人間を含むさまざまな動物の上部咽頭や消化管に生息しているという。
「K. pneumoniae」が1980年代にアジアで最初に発見された時、当時の菌株は、さまざまな抗生物質に対してまだ脆弱だったそうだ。
しかし現在、これらの株は世界中に広がり、新旧の抗生物質に対して耐性を獲得していることが、研究で示唆されている。
そして国連が調査した結果、データが得られた43の国と地域のうち、16の国と地域が「K. pneumoniae」の検出を報告したという。
特に懸念される菌株「ST23」
しかも報告した国のうち12の国からは、「ST23」と呼ばれる特に懸念される菌株が発見されたそうだ。この菌株は、「カルバペネム」などの複数の抗生物質に耐性を持つ遺伝子を、運ぶと言われている。
この細菌の典型的なバージョンは現在、医療現場で大きな問題となっており、医療機器を汚染したり、免疫系が弱い人に感染を引き起こしたりする可能性があるそうだ。
そして感染すると、肺炎や尿路感染症、血流感染症、神経系感染症である髄膜炎を引き起こすことが知られている。
しかも新型の「K. pneumoniae」は、健康な免疫系を持つ人でも、重篤な感染症を引き起こす可能性があるため、より広範な脅威になっているという。
WHOは声明で、現在これらの細菌の監視が限られているため、世界的に「hvKp関連感染症の蔓延は過小評価されている可能性がある」とし、これらの感染症に関する認識を高め、検査を拡大する必要があると指摘した。(了)
出典元:Livescience:Dangerous strains of ‘hypervirulent’ superbug detected in US and 15 other countries(8/2)