「イスラエルへの武器支援をやめろ!」米民主党全国大会で大規模抗議活動
アメリカのイリノイ州の都市、シカゴでは、民主党の全国大会がまもなく開かれようとしているが、その会場の外では反イスラエルの大規模な抗議活動が行われている。
大量虐殺の阻止、武器支援の停止
8月19日の午後には、全国大会の会場からあまり離れていない「ユニオン・パーク」に数千人が集まり、ガザ地区での停戦を求め、侵攻を続けるイスラエルへの武器支援を止めるよう訴えた。
この抗議活動には、172に及ぶ地方や全国の団体が集まるとみられ、約2万人がデモ行進などに参加すると予想されている。
抗議活動を主催する団体のスポークスマンであるHatem Abudayyeh氏は、AP通信に対して、次のように語っている。
「私たちは、大量虐殺を阻止し、アメリカのイスラエルへの支援を終わらせ、パレスチナを支持するために、獣の腹の中で自分たちの役割を果たさなければなりません」
Thousands of pro-Palestinian protesters are gathered at Chicago’s Union Park.
This is expected to be the largest DNC protest. The crowd wants an end to U.S. military aid to Israel & a ceasefire in Gaza. Organizers have promised to avoid violence. March is permitted, start soon. pic.twitter.com/niqEsM7gYl
— Jake Sheridan (@JakeSheridan_) August 19, 2024
「ハリス副大統領も共犯」
この全国大会で特に、注目を集めているのが、カマラ・ハリス副大統領のイスラエルに対する態度だ。バイデン政権は、イスラエルへの断固とした支持を表明しており、ガザ地区での停戦を仲介するも、同時に多額の武器支援を行ってきた。
そしてバイデン大統領に代わりハリス副大統領が、民主党の大統領候補に指名され、この全国大会で受諾演説を行う予定となっている。
抗議活動に参加する団体「フリーダム・ロード・ソーシャリスト・オーガニゼーション」のテイラー・クック氏は、民主党員全員に、特にハリス氏に焦点を当ててイスラエルへの支援停止を求めるよう働きかけており、次のように述べている。
「我々はカマラに言っている。彼女はこれ(ガザ侵攻)において、共犯であり続けた。人々はバイデンだけが関わってきたと思っている。しかし彼女は副大統領だ。だから私たちは言っている、もしわれわれの票が欲しければ、(イスラエルへの支援を)やめる必要があると」
ハリス副大統領は、事実上の民主党の大統領候補に選ばれた後も、「イスラエルへの武器支援を停止する」とは明言しておらず、演説時に親パレスチナの抗議活動に直面した時にも「停戦が必要だ」と述べるにとどまっている。
Pro-Palestinian DNC protesters took credit for knocking out President Joe Biden.
“We demand action. We demand an end to Israel’s war in Gaza. And we demand a total arms embargo.” pic.twitter.com/eFBNQ9oTty
— Jake Sheridan (@JakeSheridan_) August 19, 2024
DNC protesters marching on Michigan Avenue Sunday evening in Chicago pic.twitter.com/9yFIClteJY
— armando l sanchez (@mandophotos) August 19, 2024
「時間を稼いでいるだけ」
その停戦協議だが、アメリカのブリンケン国務長官は18日にイスラエルを訪れ、19日にはネタニヤフ首相と、ガザ地区での停戦について会談を行ったという。
会談後の記者会見で、ブリンケン氏は、イスラエル側がアメリカの新しい停戦案を受け入れたとし、「ハマス」側にも、「受け入れる義務がある」と述べた。新しい停戦案の詳細は不明だが、停戦後にイスラエル軍がガザ地区に残す部隊の規模や配置、ガザ・エジプト境界の管理権が含まれると考えられている。
しかしこの発言の後、「ハマス」のオサマ・ハムダン報道官は、「5月末にバイデン大統領が提案した停戦案に、ハマス側はすでに同意している」との立場を改めて表明した。
その上でハムダン報道官は、イスラエル側がバイデン大統領の停戦案から後退したとし、結局アメリカ政府が合意を受け入れるよう、ネタニヤフ首相を説得できなかったと指摘。「アメリカは、イスラエルが大量虐殺を続けるための時間を稼いでいるだけだ」と非難した。
もしアメリカ政府が本気で、ガザ地区での停戦および人質の解放を求めているのなら、停戦案を受け入れないイスラエルに対して、武器支援の停止などの圧力をかければよいはずだが、それもしていない。
そしてイスラエル国内でも19日には、人質にされたイスラエル人の家族が、ブリンケン国務長官のいるテルアビブのホテルの外に集結。ブリンケン氏が、ネタニヤフ首相に停戦協議の締結を迫るよう、訴えたという。
1日で少なくとも25人が死亡
一方、ガザ地区では8月19日にも各地で、イスラエル軍の攻撃が行われ、少なくとも25人のパレスチナ人が殺害された。
特に被害が多かったのは、ガザ地区北部のガザ市にあるシャティ難民キャンプだ。ここでは集まっていた人々に、イスラエル軍が空爆を加え、少なくとも9人が死亡。ガザ市北部のザルカ地区でも、イスラエル軍が民間の車を爆撃し、少なくとも4人が死亡したという。
さらにイスラエル軍は、ガザ市南部のサブラ地区の住宅にも砲撃を加えたとされている。
ガザ地区の保健当局によれば、昨年の10月以来、4万139人のパレスチナ人がイスラエル軍の攻撃により殺害されたという。(了)
出典元:Al Jazeera:Israel’s war on Gaza live: UN says Israeli ‘strikes are now relentless’(8/19)