米政府、イスラエルに武器支援を停止すると警告、ガザ地区の人道状況改善を要求
アメリカ政府は、イスラエルに対し、ガザ地区での人道状況を改善するよう要求した。
支援物資の搬入、一時的休戦を要求
アメリカ国務省のマシュー・ミラー報道官によれば、アントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官は10月13日、イスラエル政府に対し、書簡を送ったという。
書簡の中で両人は、ガザ地区での人道状況を改善するため。今後30日以内に緊急措置を講じるよう要求したそうだ。
そして、もしイスラエル側が措置を講じなければ、アメリカからの軍事資金の融資を受ける資格が得られなくなると警告した。これは実質的に、武器支援の停止を意味する。
その上で、融資を受けるには、ガザ地区に入る支援物資の量を、少なくとも1日当たりトラック350台に増やす必要があると主張したという。
またイスラエルは、追加の人道的休戦を行い、人道的拠点(安全地帯)の安全を強化する必要があると要求したそうだ。
しかしその一方で、アメリカ政府は、イスラエルの防空強化のために高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD(サード)」を配備し、運用要員として100人の米兵を派遣すると発表している。
そしてこれまでも度々、アメリカ政府はイスラエルの行動に「懸念」を示しながらも、実質的には支援を継続しているため、今回の発表も国内での批判を抑え、国際的な非難を避ける狙いがあるとの見方が出ている。
US troops and initial components to operate the Terminal High-Altitude Area Defense (THAAD) battery have arrived in Israel, says Pentagon.
🔴 LIVE updates: https://t.co/YX8a7cvjrp pic.twitter.com/a79TDC5Mu5
— Al Jazeera English (@AJEnglish) October 15, 2024
ガザ地区北部を包囲、内部へ攻撃
国連人権高等弁務官事務所によれば、イスラエル軍はガザ地区北部を包囲し、他の地域から完全に切り離し、人道支援物資の搬入を遮断しているという。
特にガザ地区北部の人口密集地帯であるジャバリア難民キャンプでは、数万人の民間人が閉じ込められ、イスラエル軍による砲撃や空爆に遭い、犠牲者が増加しているそうだ。
ガザ地区北部にあるカマル・アドワン病院の院長も「食料や医薬品、燃料の深刻な不足に直面しており、施設内の患者に間もなく影響が及ぶ可能性がある」と語っている。
「報復の方法は独自に決定する」
ある報道によれば、イスラエルのネタニヤフ首相は、アメリカのバイデン大統領に対し、イランの核開発関連施設や油田を攻撃しないと確約したという。
しかしネタニヤフ首相は10月15日、そのような約束を否定。イスラエル側は、イランのミサイル攻撃に対する報復の形態を単独で決定するが、アメリカ政府の助言には耳を傾けると述べたそうだ。
またネタニヤフ首相は15日、フランスのマクロン大統領と電話会談を行い、レバノンでの「一方的停戦」には応じないと述べたという。
マクロン大統領は、イスラエルに対し、国連の決定に従うよう圧力をかけており、この電話会談の前にも、閣僚らに対し「自分の国(イスラエル)が国連の決定によって、創設されたことを忘れてはならない」と語ったそうだ。
ガザ地区では50人以上が殺害される
一方、ガザ地区ではイスラエル軍の攻撃が続けられており、10月15日には、50人以上のパレスチナ人が殺害された。
パレスチナの保健当局によれば、ガザ地区北部のジャバリア難民キャンプの町、Al-Falouja付近で、イスラエル軍の攻撃により火災が発生し、少なくとも17人のパレスチナ人が死亡したという。
またAl-Faloujaの町では、イスラエル軍の攻撃で負傷した人を救おうとして、医師1人の死亡も確認されたそうだ。
さらに南部・ハンユニス東部の町、Bani Suhailaでも、イスラエル軍のミサイルが命中し、10人のパレスチナ人が殺された。
パレスチナの保健当局は15日、昨年の10月以来、イスラエル軍の攻撃により、少なくとも4万2344人のパレスチナ人が死亡、9万9013人が負傷したと明らかにした。
The death toll from Israeli strikes across Gaza since early Tuesday has risen to at least 30, medical sources tell Al Jazeera.
🔴 LIVE updates: https://t.co/TSg0OYwyJi pic.twitter.com/2dSjrQyhPB
— Al Jazeera English (@AJEnglish) October 15, 2024
レバノンでも41人が死亡
イスラエル軍はレバノンでも攻撃を続けており、レバノンの保健省によれば、10月14日の空爆により41人が死亡し、124人が負傷したという。
41 people were killed in Israeli attacks in Lebanon on Monday, which included 21 who were killed in an air attack that hit an apartment building in Aitou village, in the Christian-majority Zgharta district, says the health ministry.
🔴 LIVE updates: https://t.co/UFfIeYybun pic.twitter.com/i5oWohrxME
— Al Jazeera English (@AJEnglish) October 15, 2024
イスラエルのネタニヤフ首相は14日、「ベイルートを含む、レバノン全土でヒズボラを容赦なく攻撃する」と語ったそうだ。
そして翌日の15日にも、イスラエル軍はレバノンの東部地域に対し、数回の攻撃を実施したという。
レバノンでは昨年10月以来、イスラエル軍の攻撃により、2350人が死亡、1万906人が負傷している。
アメリカ政府は、イスラエルに対し、レバノンの首都・ベイルートに対する空爆作戦に反対すると明確に伝えたという。(了)
出典元:The Guardian:Middle East crisis live: US warns Israel it will withhold arms funding if Gaza aid doesn’t improve(10/15)