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ワクチン懐疑派のR・ケネディ氏、公聴会で過去に発言してきた内容を次々と修正

ワクチン懐疑派のR・ケネディ氏、公聴会で過去に発言してきた内容を次々と修正
X_Bernie Sanders

アメリカの議会では、トランプ大統領により保健福祉省の長官に指名されたロバート・F・ケネディ・ジュニア上院議員に対する、承認公聴会が続けられている。

 

「私の子供も全て、ワクチンを接種した」

 

1月29日の公聴会で、ケネディ氏は、ワクチンに対する自身の立場について共和党・民主党の委員の懸念を和らげようとし、自分は「ワクチン反対派」ではなく「安全重視派」であると主張。麻疹(はしか)やポリオの予防接種を控えさせることはない、と誓ったという。

 

またケネディ氏は、委員からの厳しい質問に対して、必死に弁明。「私はワクチンが医療において重要な役割を果たすと信じている。私の全ての子どもたちも、ワクチンを接種している」と語った。

 

 

翌日の30日にも公聴会が行われたが、ケネディ氏は過去に主張してきた内容を、次々と覆した。

 

HPVワクチンやライム病に関する質問

 

まずケネディ氏は過去に、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンが「危険」で、逆に子宮頸がんのリスクを高めると主張し、製薬会社「メルク」社に対する訴訟を主導していた。しかしこの公聴会では、HPVワクチンの危険性について明言を避けた。

 

データによると、アメリカでは2006年にHPVワクチンが推奨されてから10年間、4種類のHPV感染症が、14歳から19歳の女性で86%、20代前半の女性で71%減少したという。

 

またケネディ氏は以前、「ライム病が軍事的に設計された生物兵器だと信じている」と発言していたが、その前の公聴会では否定。しかし29日の公聴会で質問され、「おそらくそう言った」と認めたという。

 

ただし、ケネディ氏は委員に対して「私はそれ(軍事兵器だと)を信じたことは、一度もありません」と答えたそうだ。ライム病とは、マダニに刺されて人に広がる細菌感染症とされている。

 

「研究論文を読むべきだ」

 

また医師であるビル・キャシディ議長は、自閉症と麻疹またはB型肝炎ワクチンとの関連がないことを示すデータを受け入れるかどうか、ケネディ上院議員に繰り返し質問した。

 

ケネディ氏は、「データ(研究結果)があればそうする」と発言。これに対しキャシディ氏は「データは、すでに入手可能だ(公開されている)」と反論した。

 

その後、ケネディ氏は「もし関連性がないことを示す研究結果を見せられて、人々を誤解させる発言があった場合は謝罪する」と述べたそうだ。

 

これを受け、委員のサンダース氏は「これは非常に困った回答だ。なぜなら研究結果が、そこにあるからだ。この仕事(保健福祉長官)に応募する者として、これらの研究結果を見ることがあなたの仕事だ」と非難した。

 

小児ワクチンと自閉症を関連付けた研究を賞賛

 

またサンダース氏は、ケネディ氏が、1998年にMMRワクチンが自閉症を引き起こすと結論付けたイギリスの論文の主著者、アンドリュー・ウェイクフィールド氏を称賛したと非難した。

 

実はウェイクフィールド氏は、MMRワクチンと自閉症の関連性を見つけようとして、資金提供を受けていたと判明し、それにより13人の研究者のうち10人が支持を撤回。

 

2010年にはウェイクフィールド氏の論文の信頼性が損なわれ、調査により、研究において「不誠実かつ無責任」な行動をとったことが判明したため、その後彼は医師免許を失ったという。

 

それ以降も、10件を超える質の高い研究において、小児ワクチンと自閉症との関連を示す証拠は見つかっていない。

 

またケネディ氏は、COVIDワクチンが命を救ったかどうか、についても明言を拒否したという。ただイェール大学公衆衛生大学院と、メリーランド大学医学部による2022年の研究では、COVIDワクチンが300万人の命を救い、1800万人の入院を防いだと推定されている。

 

このように過去の発言を撤回、もしくは修正したケネディ氏だが、公聴会を通過し、正式に承認されれば、あとは自分が本来考えていたような政策をする可能性もある。

 

実際、29日の公聴会では、民主党のマイケル・ベネット議員が「あなたがここで何を言おうと関係ない。それはあなたが本当に信じていることの反映ではないからだ」と不信感をあらわにしたという。(了)

 

出典元:ABC News:Top Republican ‘struggling’ with RFK Jr.’s nomination over Kennedy’s vaccine views(1/31)

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