米政府、新たなNGOを通じて、ガザ地区への人道支援を計画

アメリカ政府は、ガザ地区へ人道支援物資を届けるために、NGOを活用することを計画している。
「ガザ人道財団」を通して支援を計画
ガザ地区では3月2日以降、イスラエル軍による封鎖のため、人道支援物資がほとんど届けられておらず、多くのパレスチナ人が食料や水、医療物資のない状態に置かれ、飢えに苦しんでいる。
そんな状況に対処するため、アメリカ政府は人道支援を提供する新たなシステムを準備中であることを明らかにした。
この人道支援物資の配給は、新たに設立されたNGO「ガザ人道財団(GHF)」によって行われる予定で、BBCが確認した「GHF」の文書によれば、4つの配給拠点を設置し、当初は人口の60%未満にあたる120万人に食料や水、衛生キットを配布するという。
また文書には、このプロジェクトが最終的にガザ地区の住民全員に支援を届けることを目指している、とも記されているそうだ。
「ハマス」による横領を防ぐため?
「GHF」の主張によれば、活動は「人道、中立、公平、独立という人道原則にのっとって」行われ、すでにガザ地区で崩壊した人道支援物資ルートを立て直すことが目的だという。
さらに「GHF」の理事会と顧問には、これまでもガザ地区で支援していた慈善団体「ワールド・セントラル・キッチン」の元最高経営責任者や、国連世界食糧計画(WFP)の元事務局長であるアメリカ人デビッド・ビーズリー氏が含まれているとされているが、ビーズリー氏の参加はまだ確認されていない。
駐イスラエル米国大使のマイク・ハッカビー氏は、「ハマス」による支援物資の横領を防ぐため、警備会社が警備する「GHF」の「配給センター」が、当初100万人以上に食料などの物資を供給すると述べた。
イスラエル軍は物資搬入には関与せず
実はイスラエル政府は、軍が関与した形で、ガザ地区へ人道支援物資を配給する案を提示していたが、国連機関などは、その計画が支援を「兵器化」する可能性があるため、協力しないと繰り返し表明してきた。
ハッカビー大使は、今回の計画について「ここは戦闘地帯なので、イスラエルは必要な治安維持には関与するだろう。しかしイスラエル軍が、食料の配給はもちろん、ガザ地区への食料の搬入にも関与しないだろう」と述べたという。
またハッカビー大使は、トランプ大統領がガザ支援を緊急課題と捉えており、自身のチームには「支援を加速させ、可能な限り迅速に人々に人道支援を届けるために、あらゆる努力を尽くす」という任務が与えられているとも述べた。
ただ国連などの機関は、強力な監視メカニズムを備えており、これまでもガザ地区への支援物資が急増したことで、「ハマス」などによる略奪行為はほぼ停止したと主張。世界保健機関(WHO)も、紛争中に医療物資が略奪されたことはない、と語っている。
ガザ地区では少なくとも23人が死亡
一方、ガザ地区では連日、イスラエル軍の攻撃が続けられており、5月10日も数多くのパレスチナ人が殺害された。
ガザ地区中部のDeir al-Balahでは、10日の夕方、イスラエル軍が避難民のテントを空爆。これにより4人のパレスチナ人が殺害された。
また北部のガザ市サブラ地区でも10日の朝、イスラエル軍の戦闘機がテントを標的に空爆を行い、1家族のうち5人が殺されたという。
同じくガザ市のトゥッファ地区でも、ドローン攻撃で6人が死亡。シェイク・ラドワン地区ではイスラエル軍が住民のアパートを爆撃し、さらに1人が死亡した。
ガザ地区南部のラファでは、イスラエル海軍の艦船が、海岸に「激しい砲火」を浴びせ、Mohammed Saeed al-Bardawilと特定される男性が死亡したという。
ラファ西方にあるアル=マワシ人道支援地区へも、攻撃が行われ、さらに2人の民間人が負傷した。
ガザ地区保健省によると、イスラエル軍の攻撃により過去24時間で、少なくとも23人のパレスチナ人が死亡、124人が負傷したという。死亡した人の中には、子供たちも含まれている。(了)
出典元:Aljazeera:Children among 21 killed in Israel’s attacks on Gaza amid aid blockade(5/10)
出典元:BBC:US confirms plan for private firms to deliver Gaza aid despite UN alarm(5/9)