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火星は想像以上に水が豊かだった?1万6000kmに及ぶ川床の痕跡を発見

火星は想像以上に水が豊かだった?1万6000kmに及ぶ川床の痕跡を発見
Royal Astronomical Society

古代の火星で、広範囲に川が流れていた可能性が、研究者らによる調査で明らかにされた。

 

火星南部の「ノアキス・テラ」の画像を調査

 

イギリス・オープン大学の博士課程の学生であるアダム・ロセクート氏と研究チームは、複数の火星探査機からの画像に着目し、火星最古の地形の1つである「ノアキス・テラ(ノアの地)」を調べたという。

 

「ノアキス・テラ」は火星の南部高地にあり、画像は約400万平方マイル(約1035万平方キロメートル)をカバーしており、これはオーストラリア(769万平方キロメートル)よりもはるかに広い面積とされている。

 

調査の結果、30億年以上前に形成されたとみられる全長約1万6000kmに及ぶ、古代の河川の地質学的痕跡が発見された。

 

このことから約37億年前の「ノアキス・テラ」地域の表面には、水が永続的に存在していたことが示唆され、これまで考えられていたよりも、火星がはるかに湿潤な世界であった可能性が示された。

 

水の証拠となってきた谷や峡谷

 

火星における古代の水の最も顕著な証拠は、地形を流れる水によって削り取られたと考えられる巨大な谷や峡谷とされてきた。

 

しかし、火星の一部の地域には谷がほとんどなく、科学者たちはこれらの地域が、かつてどれほど湿潤であったのか、疑問視していたという。

 

特に研究者を困惑させた地域の1つが、「ノアキス・テラ」だ。古代火星の気候を再現したコンピューターモデルによると、「ノアキス・テラ」にはかなりの雨や雪が降り、水の流れによって地形が削り取られたはずだった。

 

しかし川の痕跡が見つからなかったため、今回研究者らが、NASAの火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」と「マーズ・グローバル・サーベイヤー」による高解像度画像を調査した。

 

Royal Astronomical Society

短い川や長い川まで存在していた

 

川床の中には比較的短いものもあったが、100マイル(約160km)以上に及ぶ河川網を形成しているものもあったという。

 

しかも河川網は広範囲に及んでおり、この地域に定期的に降る雨や雪によって、水が補給されていた可能性があるそうだ。オープン大学のアダム・ロセクート氏も、次のように述べている。

 

「本当に興味深いのは、この地域には長い間、水の存在を示す証拠がないと考えられてきたことです。私たちが発見したのは、この地域には確かに水が存在し、それが非常に分散していたということです。これほど広大な地域で、これらの川を支えた唯一の水源は、地域的な降水でなければならないでしょう」(了)

 

出典元:The Guardian:Discovery of ancient riverbeds suggests Mars once wetter than thought(7/10)

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