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立ち入り禁止区域周辺に遊歩道も、チェルノブイリの観光地化計画が明らかに

立ち入り禁止区域周辺に遊歩道も、チェルノブイリの観光地化計画が明らかに
Twitter / Culture Trip

1986年4月26日、ソビエト連邦で発生したチェルノブイリ原子力発電所事故は、世界最悪の原発事故と言われている。

 

それから30年以上の歳月を経た今年には、世界的大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』を手掛けたことで知られる米国のテレビ局、HBOが制作したチェルノブイリ原発事故を巡る新作実録ドラマ『チェルノブイリ』も公開された。

 

同作の後押しもあり、チェルノブイリ原発の立ち入り禁止区域には、今では世界中から多くの観光客が足を運んでいる。

 

そんな中、チェルノブイリ原発を政府主導で観光地化させる計画が発表され、注目を集めている。

 

チェルノブイリ観光地化に意気込む大統領

 

チェルノブイリ原発を観光地化させる計画を明らかとしたのは、ウクライナ政府。

 

同国のウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は、原発の跡地を観光地として指定する法令にも既に署名を行ったという。

 

これについてゼレンスキー大統領は、「これまでチェルノブイリは、ウクライナにネガティブな烙印を押してきた。今こそこれを変える時だ」と語る。

 

「我々はこのウクライナの地に、新たな生命を吹き込まなければならない」

 

 

計画においては、チェルノブイリ原発の跡地に遊歩道や水路、さらには検問所などが整備される予定だという。

 

「チェルノブイリは真の“ゴーストタウン”が存在し、広範囲にわたり人災の被害が及んだ後に自然が再生した地球上で唯一無二の土地だ」というゼレンスキー大統領。

 

「我々はこの地を世界の科学者、生態学者、歴史家、そして観光客に見せなければならない」

 

33年の時を経ても汚染されたチェルノブイリの地

 

しかしチェルノブイリ原発の跡地を観光地化させる計画には、マイナス面があることも事実だ。

 

立ち入り禁止区域の土壌は今もプルトニウムやセシウム、ストロンチウム、アメリシウムといった、触れたり吸い込んだりすることで健康に深刻な害を与える可能性のある放射性物質で覆われている。

 

Twitter / 𝔏𝔬𝔯𝔡 𝔬𝔣 𝔈𝔣𝔣𝔦𝔠𝔦𝔢𝔫𝔠𝔶

 

チェルノブイリ原発の立ち入り禁止区域に生息する野生動物について、2012年から研究を続ける米国ジョージア大学のJim Beasley氏は、「チェルノブイリは人類史における最悪の原発事故だ」とした上で、同地において観光が賑わいを見せる現状に対し危機感を見せる。

 

「事故から33年を経ても、チェルノブイリは地球上で最も放射能で汚染された地の一つのままだ」

 

ウクライナとその周辺諸国においては、チェルノブイリ原発事故の影響によって長期的に癌やその他の病気を患い亡くなった犠牲者を巡る議論が今も続く。

 

中でも癌による犠牲者数は世界保健機関が9000人と見積もる一方、ベラルーシにおける研究では11万5000人とされており、いずれにせよ少なくない数の人が事故の影響により亡くなったことが明らかとなっている。

 

事故後人が去った施設(Twitter / Andrew Connell)

立ち入り禁止区域内を訪れる際の注意点とは

 

「放射能に曝される時間が長いほど、それが将来に及ぼす影響は大きい」と指摘するのは、微生物学と免疫学について教える一方、チェルノブイリ現地で原子力研究を行うT. Steen氏。

 

同氏によると今日チェルノブイリの立ち入り禁止区域内における放射線量は場所によって異なっており、そのため訪れる際には立ち入り禁止区域内の危険性について理解した上で、長居しないように注意して観光すべきであるという。

 

それだけではなく、チェルノブイリを訪れる際にはその後捨ててもよい衣服と靴を身にまとうと共に、立ち入り禁止区域内で何かに触れるつもりであるのならば、マスクと手袋をも使用することが推奨されるとしている。

 

また舗装されて除染も行われた道に留まる分には危険性は低いものの、除染が行われていない周辺の森へと足を踏み入れることは最も避けるべきであるとしている。

 

事故の影響により枯れ、“赤い森”と呼ばれるようになった森で2009年に撮影された写真。枯れ果てた森は徐々に回復しつつあるという(Wikipedia Common)

 

事故から30年以上の時を経て、チェルノブイリ原発の跡地を観光地化させる計画を明らかにしたウクライナ政府。

 

人類の負の歴史を目撃するということは意義深いことである一方、同地を訪れる際にはそこが今も放射性物質という人体に有害な物質によって汚染されていることも忘れてはならない。(了)

 

出典:The Durango Herald:After TV series, Ukraine wants nuclear accident site to become hot spot for tourism(7/21)

出典:Fox News:Site of Chernobyl nuclear disaster to become official tourist attraction, Ukrainian president says(7/11)

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