ガザ地区の国境検問所を開放せよ!イスラエルへの圧力が強まる

イスラエル軍は、ガザ地区の国境検問所を依然として閉鎖しており、人道支援物資が十分に届けられていない。
EUなども国境開放を要求
10月10日に発効された停戦合意では、ガザ地区の国境検問所を開放し、1日に600台の人道支援物資を積んだトラックが入ることが約束された。
しかしその後も、イスラエル側はガザ地区との国境を閉鎖し、限られた数のトラックしか通過できていない。
カタールでトルコ当局者と会談した「ハマス」の代表団は10月21日、声明で、「イスラエルが病人や負傷者の移動、ガザ地区への人道支援の流入を阻止し、南部のラファ国境検問所を開通させないことで、停戦の実施を遅らせている」と非難した。
その一方、「ハマス」の代表団は、イスラエルによる「度重なる停戦違反」にもかかわらず、停戦合意への関与は維持すると述べた。
また欧州連合(EU)の危機管理担当委員であるHadja Lahbib氏も21日、EUが一部資金提供している人道支援物資を積んだトラック1300台が、すでにガザ地区に入る準備をし、待機していると指摘。
しかしイスラエル側が、停戦合意にもかかわらず、依然として厳しいガザ地区への入国制限を続けていると非難した。
世界食糧計画(WFP)によると、イスラエルが国境検問所を2カ所しか開放していないため、ガザ地区に入る物資は1日2000トンに遠く及ばないという。
栄養失調に苦しむガザ地区のパレスチナ人のためには1日600台のトラックが必要とされているが、ガザ地区のメディア局も、10月10日の停戦発効以降、986台のトラックしか入っていないと指摘している。
イスラエルの新聞「ハアレツ」紙のコラムニスト、ギデオン・レヴィ氏は、アメリカ政府が要請した場合のみ、ネタニヤフ首相は国境検問所を全て完全に開放するだろう、と指摘。現在イスラエルに滞在しているアメリカ政府の代表団が、イスラエル政府に圧力をかけているとの見方を示した。
Video shows hundreds of humanitarian aid trucks lined up at Egypt’s Rafah crossing, waiting to enter the Gaza Strip. pic.twitter.com/YyuiTOwPsk
— Al Jazeera English (@AJEnglish) October 21, 2025
「武装解除に期限は設けない」
そのアメリカ政府の代表団を率いているJ・D・バンス副大統領は21日、イスラエルでネタニヤフ首相と会談を行った後、記者会見を開き、イスラエル人の人質の遺体回収には「時間がかかる」と認め、「ハマス」の武装解除に期限は設けないと述べた。
しかし同時に、「ハマス」が停戦合意に協力しない場合、「壊滅させられる」と改めて強調したという。
またトランプ大統領の側近である、スティーブ・ウィトコフ中東特使は、停戦が前進しており、その実施状況は今のところ「期待を上回る」との見方を示した。
ただしトランプ大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏は、支援物資の輸送に関し、国連とイスラエルの間で良好な連携が保たれていると述べた。
また記者会見では、停戦合意後にイスラエルがガザ地区へ攻撃を行ったことについて、言及されなかったという。
さらに人質2人の遺体を引き渡す
一方、「ハマス」は10月20日、イスラエル人の人質1人の遺体を引き渡し、イスラエル側も遺体の身元を確認した。
これにより「ハマス」は、28人の遺体のうち、13人の遺体をイスラエル側に返還したことになる。
また「ハマス」は10月21日も、さらに2人の人質の遺体を引き渡し、イスラエル軍が赤十字の職員から受け取ったという。
しかしイスラエル軍は、ヨルダン川西岸地区でも暴力を継続しており、パレスチナ自治政府の外務省は21日、同地区での活動家32人の逮捕を非難した。(了)
出典元:Aljazeera:Live: Israel attacks on Gaza continue as US praises ceasefire progress(10/21)