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グリーンランドで科学者が、200万年前の最古のDNAを発見

グリーンランドで科学者が、200万年前の最古のDNAを発見
flickr/Rene Schwietzke

グリーンランドで科学者により、最古のDNAが採取され、古代の様子が浮かび上がってきた。

 

環境DNAの断片から情報を読み取る

 

この研究を行ったのは、デンマークにあるコペンハーゲン大学の地質学者、カート・ケア氏が率いる研究チームだ。

 

彼らは、グリーンランド北端のピアリーランドにある「カプ・コベンハウン層(

Kap København formation)」と呼ばれる堆積物から、土壌サンプルを採取。

 

そこから環境DNA(eDNAとも呼ばれる)を抽出し、その断片から遺伝情報を取り出すことができたという。

 

最新の技術でDNAを抽出

 

eDNAとは、生物の毛髪や排泄物、唾液、腐敗した死骸などを通して、周囲に流出した遺伝物質のこと。

 

もっとも古いDNAは時間の経過とともに分解され、小さな断片しか残らないため、これを研究するのは容易ではない。

 

しかし研究チームは最新の技術を用い、小さくて破損したDNAの断片から遺伝情報を取り出すことに成功した。さらにこのDNAを異なる種のDNAと比較し、一致するものを探したという。

 

その結果、古代のグリーンランドの様子が、少しずつ明らかになってきたそうだ。

 

「マストドン」のDNAも発見

 

現在、ピアリーランドの周辺は極地の砂漠地帯とされているが、200万年前は現在より平均気温が摂氏11〜19度も高く、珍しい植物や動物が生息していたと考えられている。

 

実際に採取されたDNAの断片から、白樺の木や、柳の低木のような北極圏の植物、モミや杉のような暖かい気候を好む植物が混在していたことが示唆されたという。

 

またガチョウ、ノウサギ、トナカイ、レミングなどの動物の痕跡も確認されたそうだ。

 

さらに、象とマンモスを混ぜたような絶滅種の「マストドン」のDNAも発見。「マストドン」の化石の多くは、これまでグリーンランドのさらに南に位置する、北アメリカの温帯林で発見されてきたという。

 

Wikipedia/Heinrich Harder

永久凍土で固まり、蓄積されていった

 

数百万年前、この地域は激しい気候変動の時期であったと考えられている。

 

やがて気候が冷え込み、永久凍土が固まるまでの数万年の間に、この場所に堆積物が蓄積された可能性が高いという。

 

そして2006年に科学者がやってきてサンプルを掘り出すまで、この冷たい環境がデリケートなDNAの断片を保存するのに役立っていたとみられている。(了)

 

出典元:NBC:Oldest DNA reveals life in Greenland 2 million years ago(12/8)

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