1990年代初めまで、ソ連がサル痘を生物兵器として研究していた
ソ連では、生物兵器として使用できるようサル痘の研究が進められていたと、過去にロシア人の元大佐が指摘していたという。
ソ連の生物兵器プログラムの副責任者が語る
その元大佐とは、ケン・アリベク氏だ。彼は1991年のソビエト連邦崩壊まで生物兵器プログラムの副責任者を務めていた人物とされている。
またアリベク氏は、ソ連崩壊から1年後まで生物兵器プログラムを継承したロシア軍の40の施設で、3万2000人を監督していたという。
その後、彼はアメリカに移住。ソ連が戦争でさまざまな感染症を使用するために、どのように研究をしてきたかを明らかにした。
どのモデル・ウイルスが使えるかテスト
アリベク氏によれば、ソ連の研究者らは当初天然痘に焦点を当てていたが、その後世界的なワクチン計画によって天然痘が根絶されたため、その考えを諦めざるを得なかったという。
またアリベク氏は1998年、アメリカの化学・生物兵器不拡散プロジェクト(CBWNP)のスタッフとのインタビューにおいて、次のように語っていたそうだ。
「そのため私たちは、ヒトの天然痘の代わりにどのようなモデル・ウイルスが使えるか、を決める特別なプログラムを開発したのです。天然痘のモデルとして、ワクシニアウイルス、マウス痘ウイルス、ウサギ痘ウイルス、サル痘ウイルスをテストしました。研究開発はすべてこのモデル・ウイルスで行うことにしました」
そして最終的にロシア国防省は、ソ連崩壊後も、将来の生物兵器を作るためにサル痘の研究を続けることを決めたという。
しかも1998年にアリベク氏は、アメリカ議会の公聴会に招かれ、「ロシアの生物兵器プログラムはまだ完全に解体されていないと確信している」と証言している。
英、米、カナダなど9カ国で確認
その後も、アメリカなどで、ロシア軍によりサル痘が生物兵器として作られる可能性があるといった報告がなされたようだが、ロシアが実際に製造していたかは分かっていない。
もともとサル痘ウイルスは、過去の症例の大半が中央・西アフリカに集中していたそうだ。しかし現在はイギリスやアメリカ、カナダなど9カ国でも検出されており、アフリカの科学者たちも困惑しているという。
イギリスでは現在、サル痘に感染した患者が20人確認されているが、ほとんどの場合は軽症だと言われている。
イギリスのサジッド・ジャビド保健相は5月20日、現在予防のために天然痘ワクチンを蓄えていると明らかにした。(了)
出典元:METRO:Russia ‘planned to use monkeypox as a bioweapon’, report warned(5/20)