「ロシア軍は今年、大幅に領土を獲得できない可能性」米国家情報長官
アメリカの国家情報長官が上院の公聴会で、今後のウクライナでの戦況について見通しを述べた。
「大幅な領土獲得を予見できない」
アメリカのアブリル・ヘインズ国家情報長官は3月8日、上院公聴会において「ウクライナ東部の都市、バフムトが占領される可能性があるとしても、ロシア軍はおそらく現在のレベルの戦闘を続けることはできないだろう」との見通しを示した。
その上でヘインズ国家情報長官は「ロシア軍が今年、大幅な領土獲得ができるほど回復することは予見できない」と述べたという。
にもかかわらず、ロシアのプーチン大統領は「時間が自分に有利に働くと計算している可能性が高い」と指摘。次のように推測した。
「プーチンは、断続的に戦闘を中断しながら戦争を長引かせることが、たとえ何年もかかるとしても、最終的にウクライナにおけるロシアの戦略的利益を確保するために残された最善の道筋かもしれないと考えているようだ」
現在の攻撃レベルを維持するのは困難
またヘインズ国家情報長官は「プーチンはおそらく自軍の限界について、よりよく理解しているだろう」と発言。
「ロシアの軍事力は、兵力損失や、アメリカや同盟国の貿易制限や制裁による武器の枯渇によって、現在著しく制約されている」とし、プーチン大統領が「今はもっと控えめな軍事目標に集中しているように見える」と述べた。
さらに「もしロシアが強制動員を開始せず、第三国からの大幅な弾薬供給を確認できなければ、現在の攻撃的な作戦レベルを維持することさえ、ますます困難になるだろう」と指摘。
その結果、「ロシア軍は現在占領している地域の保持と防衛に、完全に移行する可能性がある」との見方を示した。
バフムトが数日で陥落する可能性
一方、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は3月8日、ウクライナ東部の都市、バフムトが今後数日で陥落する可能性があると述べた。
ストルテンベルグ事務総長は「私たちが見ているのは、ロシア軍がより多くの軍隊や戦力を投入していることであり、ロシア軍に欠けている質を量で補おうとしていることだ」と指摘。
「彼ら(ロシア軍)は、大きな(兵力の)損失に苦しんでいるが、同時に私たちは、今後数日のうちに最終的に(バフムトが)陥落する可能性も否定はできない」と語った。(了)
出展元:The Guardian:Russian forces unlikely to capture significantly more territory this year, says US – as it happened(3/8)