転倒した盲目のランナーに、ライバル選手が勝負を捨て、ゴールまで伴走する
米国ニューヨーク州で開催された陸上競技会のクロスカントリーレースで、転倒した盲目の選手を助けるためにライバルチームの選手が勝負を捨て、ゴールまで伴走するという心温まる出来事があった。
数々の高校が競う大規模な競技会で
10月13日、ニューヨーク州の高校陸上部が一堂に会する競技大会「Auburn Invitational」が開催された。
今年、クロスカントリーの種目には盲目の選手が出場していた。Fairport高校のLuke Fortnerさんだ。盲目の選手にはガイドとなる伴走者がつく。
この競技会は、各高校から実力で選ばれた代表選手が出場するもの。その中に入っているFortnerさんは、もちろん上位入賞を目指していた。
あと200メートルの地点で
ところが、ゴールまであと200メートルという地点で、Fortnerさんは不運に見舞われた。
そこは丘の上り坂。前日に降った雨のせいで、草の上は滑りやすくなり、地面はぬかるんでいた。それを予期していなかったFortnerさんは転倒し、身をかばう暇もなく、仰向けに倒れたまましばらく動けなかったという。
手を貸したライバル校の選手
ガイド役の伴走者は、Fortnerさんの片腕を取って助けようとした。すると、別の選手がやって来て、Fortnerさんのもう一方の腕を支えた。
その選手は、少し前にFortnerさんが追い抜いたJake Tobinさんだった。ライバル校であるCazenovia高校のチームの一人だ。
Tobinさんにしてみれば、抜き返して順位を上げるチャンスだったろう。だが彼はそうしなかった。
Tobinさんはその後もFortnerさんと一緒に走り、共にゴールした。
優しさとスポーツマンシップ
この出来事について、海外メディアの取材を受けたCazenovia高校クロスカントリー代表チームのコーチはこう言っている。
Jake(Tobinさん)は膝をついて、ガイドと一緒に彼(Fortnerさん)を引き上げ、丘を登るのを助けました。
見ていて気持ちが揺さぶられました。この場面は今後も忘れられないでしょう。真のスポーツマンシップとはこういうことだと思います。
FortnerさんのコーチもTobinさんを称賛している。
Jake(Tobinさん)の行動は、素晴らしい優しさとスポーツマンシップの表れです。表彰に値するものです!
(了)
出典元:Syracuse.com:Cazenovia runner forgets about winning to stop, help legally blind runner who fell(10/17)
出典元:Western Journal:After Legally Blind Runner Falls, Opponent Sacrifices Race To Help Him Finish(10/17)