ホロコーストから逃れた女性、ユダヤ人へのヘイトクライムにより殺害される
フランスで85歳になるユダヤ人の女性が殺害されているのが発見され、反ユダヤ主義者の犯行であることが明らかとなった。
ヘイトクライムによる殺人と断定
犠牲となった女性とはMireille Knollさん。彼女の遺体は先週の金曜日(3月23日)、パリの労働者階級が暮らすアパートの一室で発見されたという。
Mireilleさんは刃物で刺されて死亡したとみられ、犯人が室内に火を放とうとしたためか、遺体の一部は焼けていたそうだ。
パリの検察当局は記者会見で、遠まわしながらも「Mireilleさんがユダヤ人だったために殺された」という趣旨を述べ、彼女が反ユダヤ主義者によるヘイトクライムの犠牲者であることを明らかにした。
She Survived the Holocaust, to Die in a 2018 Hate Crime https://t.co/Rv2kLHdci3 pic.twitter.com/b5x2mXqxiO
— Idalma Barrera (@Idalbarrera) March 26, 2018
ブラジルのパスポートで救われる
Mireilleさんはフランスのパリで生まれ育ち、ドイツがフランスを占領していた期間、運良くホロコーストから逃れることができた人だったという。
1942年の夏、フランス警察はドイツ軍と協力して、パリに住む1万人以上のユダヤ人を呼び出し、ヴェロドローム・ディヴェールという競輪場へ閉じ込めたそうだ。(ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件)
Mireilleさんの母親も当時呼び出しを受けたが、最終的にはブラジルのパスポートを持っていたために、娘と共に逃れることができたと言われている。
しかし、ヴェロドローム・ディヴェールへ集められたユダヤ人はその後、アウシュヴィッツ強制収容所へ送り込まれ、殺されたという。
フランスのユダヤ人協会代表であるFrancis Kalifatさんは、次のように語っている。
「このことは人々に非常に恐ろしいことを感じさせます。Mireilleさんはナチスの反ユダヤ主義から逃れました。しかし最終的には反ユダヤ主義のために殺されるという運命に従わざるを得なかったのです」
反ユダヤ主義者による事件が多発
この事件を受け、フランスのマクロン大統領もツイッターで声明を発表。この「おぞましい」殺人事件を非難し、反ユダヤ主義と闘っていく決意を強調している。
フランスではこれまでにも反ユダヤ主義者による犯罪が多く発生しており、国内を大きく揺るがしてきたという。
昨年にはマリ出身の男が、Sarah Halimiさんという高齢のユダヤ人女性を窓の外へと放り投げ、殺害する事件も起きたそうだ。
そしてフランス警察も以前の反省を踏まえ、今回の事件が反ユダヤ主義者によるヘイトクライムであるという結論を早急に導き出したとされている。(了)
出典元:The New York Times:She Survived the Holocaust, to Die in a 2018 Hate Crime(3/26)
出典元:CNN:Holocaust survivor’s murder in Paris probed as anti-Semitic attack(3/27)