「電気使い過ぎ」とSWATが医療機関に突入→ライフルがMRIに吸着→MRIを破壊→訴訟
強力な磁石を使用して体内を撮影するMRI機器。金属に反応するのでファスナーやワイヤーのあるものは着用できないのはもちろん、体内に埋め込まれた金属や微量の金属成分を含むタトゥーやアートメイクにも注意が必要だ。
そんな機器に、ライフルを持って近づいた人物のいたことが、訴訟により明らかになった。
SWATが診断センターに
2023年10月18日、捜査令状を持ったロサンゼルス市警のSWATチームが、米カリフォルニア州にあるNoHo診断センターに突入した。容疑は「大麻栽培」だ。
残念ながら居合わせてしまった職員1名が拘束されたが、大麻栽培がされているという事実はなく、施設にはオフィスと医療機器があるだけだった。
警察は上司に連絡をするように職員に伝えると、施設内をうろつきはじめたという。
警察官がパニックか
施設にはMRI検査室もあり、警察官は入口の注意喚起を見もせずに、ライフルを持ってそこに足を踏み入れた。超強力な磁石にライフルを持って近づいたらどうなるのかは、小学生でもわかるはずだ。
ライフルはMRI機器に引き寄せられ、警察官は職員を呼ぶ代わりに緊急停止ボタンを押したのだ。この行動により、MRI の磁石は急速に超伝導性を失い、約2000リットルのヘリウムガスが蒸発。MRI 装置に大きな損傷が生じたという。
この警察官はパニックを起こしていたのか、MRI機器を壊してまで取り戻したライフルを手に取り、MRI検査室の床に弾丸が詰まった弾倉(マガジン)を放置したそうだ。
なぜ大麻栽培が疑われたのか
そもそもなぜ、NoHo診断センターに大麻栽培の疑惑がかかったのか。それは、近隣の商店よりも大量の電力を使用していたから。残念ながらロサンゼルス市警は、アパレルショップや花屋とは違い、検査機器のある医療施設には大量の電力が必要なことを知らなかったようだ。
NoHo診断センターは、1年経っても恨みが消えていないらしく、損害賠償などを求めて訴訟を起こしている。訴状には警察官が、MRI装置やX線装置、その他の医療機器を使用する診断施設であるという事実を無視して、(施設が)大麻を栽培していると結論付けたと書かれているという。(了)
参考:SFGATE「LAPD raid goes from bad to farce after gun allegedly sucked onto MRI machine」(9/24)
参考:FRANCE24「US cops get gun stuck to MRI machine in bungled cannabis raid」(9/26)
アイキャッチ画像:liz west/Flickrのクリエイティブコモンズ