サウジでハロウィーンの会場にいた、フィリピン人女性19人が当局に拘束される
サウジアラビアで多くのフィリピン人労働者が、パーティーの会場にいたとして当局によって拘束された。
ハロウィーン・パーティーが開かれていた
フィリピンの外務省によれば、先週の金曜日にサウジの治安当局が首都リヤドにあるリゾート地にある建物を急襲したという。
そこではハロウィーン・パーティーが開かれていたとみられ、現場にいた17人のフィリピン人労働者の女性が拘束されたそうだ。
治安当局は近隣住民から騒音の苦情を受けて現場に急行したとみられているが、拘束された女性たちにどのような容疑がかけられたのかは現時点では分かっていない。
ただフィリピン外務省は、サウジアラビアでは結婚していない男性と女性が公共の場に同席することは禁じられていると述べている。
入場料を取っていた主催者を逮捕
またサウジ駐在のフィリピン大使、Adnan Alonto氏によれば、当初はパーティーの主催者が許可なくイベントを行ったとして拘束されたとの情報がもたらされていたという。
一方、フィリピンの新聞「STAR」では、Humoud Al Fajrawiと呼ばれる男性のフェイスブックでの投稿を紹介し、パーティーの参加者の中にはハロウィーンがテーマのイベントとは知らなかった人もいたと伝えている。
さらにサウジの警察総局は先週の土曜日にツイッターで、ライセンスがないにもかかわらず入場料を課したとしてパーティーの主催者を逮捕したと発表。
マスクや奇妙な衣装を着て、クラッカーを鳴らして近隣住民を怖がらせ、不快な思いをさせたことも要因だと付け加えている。
イスラム以外の宗教行事を禁止
そもそもサウジアラビアでは、イスラム以外の宗教に関するイベントなどを公共で行うことは禁止されている。
このためAlonto大使は日曜日に、現地のフィリピン人コミュニティに対し、当局に許可されていないイベントや集会を催したり、出席したりしないよう呼びかけたそうだ。
さらに公共の場で男女が入り混じっている場所を避け、お酒を飲むこと、またイスラム教以外の宗教に基づいた伝統行事、例えばハロウィーンやバレンタイン、クリスマスなどに関連した行為を公共の場で行わないよう伝えた。
17人ではなく19人、その後釈放
そして今週の火曜日、フィリピン外務省によれば、サウジアラビア当局は逮捕した女性らの一時的な釈放に同意したという。
その結果、水曜日には女性らが解放され、今後はリヤドにあるフィリピン大使館に引き渡されることになるそうだ。
また当初は17人の女性が逮捕されたと言われていたが、サウジ当局は釈放されたのが19人の女性だと発表した。
一方、フィリピンの総領事であるChristopher Patrick Aro氏はRutersに対し、彼女らはリゾートで行われたパーティーの清掃員として雇われたと主張。コスチュームは着ていなかったが、今後は労働規則違反に問われる可能性があるとしている。
宗教警察の力が弱まるも…
2018年に公表されたアメリカの「国際的信教の自由に関する委員会」の報告書によれば、ここ数年サウジの宗教警察が非イスラムの集まりに踏み込み、参加者を逮捕して送還させるケースが見られるという。
特にイベントが騒々しかったり、または人が多く集まり過ぎたり、建物の外からシンボルとなるものが見えたりする場合に捜査をするケースが多いそうだ。
しかしながら2016年には国王の布告もあり、宗教警察の力が弱まり、イスラム教徒だけでなく非イスラムの人が取り調べや嫌がらせを受けるケースも減少していたとされている。
その一方でアフリカや東南アジアからの出稼ぎ労働者たちは、魔術を使って雇用主を貶めようとしたり、家族を分断させることによって社会を不安定にさせたり、宗教的な文脈を歪曲したりといった容疑で、宗教警察によって拘束されることもあるという。(了)
出典元:BBC:Filipina women detained at Halloween party in Saudi Arabia(10/30)
出典元:REUTERS:Saudis release Filipina cleaners held after police raid on Halloween party(11/1)
出典元:INDEPENDENT:Filipina women detained in Saudi Arabia after taking part in Halloween party(10/31)