「ストーカーが死んだ」19歳の女の子はその時何を思ったか
たとえどんなに注意していても、避けようのない不運に見舞われることがある。たとえばストーカー被害や交通事故などだ。
被害者にとっては「運が悪かった」ってだけでは済まされないだろう。米カリフォルニア州在住のジョニー・ジェイさんは、19歳の時にストーカーに悩まされた女性だ。
彼女は当時を振り返り、Twitterに投稿した。
急に現れた男
ジョニーさんは19歳の時、毎日のように学校の図書館に通っている女の子だった。ある日、図書館から出ると自分の名前を呼ぶ声に気が付いたという。
振り返るとそこにいたのは知らない男。手には彼女の図書カードを持っていた。図書館で働いているという男が、彼女の忘れ物を届けてくれたのだ。名前を知っていたのも、カードの名前を見たから。
…これがジョニーさんのストーカー被害の始まりだった。その男は彼女が家に帰る道を、ずっとついてきた。年齢や彼氏のことなど、質問をされたがあいまいに答えていた。男が話すところによると、彼は28歳で、恋人はいないのだという。
その男を見るのは初めてだと思っていたジョニーさんだが、その男はこう話したという。
「図書館で君の姿は何回も見ていたよ。君を見るのが一日のハイライトだね」
怖くなったジョニーさんは、用があるふりをして近くの銀行に入り、30分ほど隠れていたという。そして母親に電話をして、迎えに来てもらうことにした。
もうあきらめただろうと思い、迎えに来てくれた母親の車に乗り込むジョニーさんが見たのは、その男が車の中の自分に手を振る姿だった。
それ以降、彼女は図書館に行くのを辞めた。すると図書館から家に電話がかかってきたり、近所をうろつく男を見ることが増えたという。しかし、それも次第に無くなっていった。
アルバイト先に現れるように
ごく普通の19歳の女の子のように、ジョニーさんもアルバイトを始めることにした。勤務先はマクドナルド。仕事を始めて1ヵ月ほどたったある日、出会いたくない人物が客として現れた。
それがあの男だ。「会えてうれしい」と話しかけてきたが、客を無視するわけにはいかない。接客が終わった後も、男は店内で食事をする間、そして終わってからもずっと、ジョニーさんを見つめ続けていた。
それから4日間連続で男は来店し、同じことを繰り返した。ジョニーさんはこのとき、誰かに相談するべきかを迷ったという。自分の考えすぎなのかもしれないと。
5日目も男はやってきたが、すぐに店を出た。ジョニーさんは「考えすぎだったんだ」と安心したそうだ。
しかし、それは間違いだったとすぐに気付くこととなる。
その日、同僚と共にゴミを出しに外に出ると、そこに男が立っていた。とてもうれしそうに「いつか出てくると思ったんだ!」と話しかけてくる男。その様子に同僚も驚き、「ここは立ち入り禁止です。出ていってください」と、男を追い払ってくれた。
同僚に「知っている人?」と聞かれた時にも、ジョニーさんは「ストーカーされている」とは言えなかった。考えすぎだとも、弱い人間だとも思われたくなかったからだ。
助けてくれた上司と学校
休日を挟み、再び出勤したときにはジョニーさんの気持ちは少し軽かった。男が来るようになったのは、夜の時間帯。休み明けからは、朝の時間帯のシフトに変更になっていたからだ。
しかし、男はそこにいた。
列にも並ばず、ただジョニーさんを見つめ続けていたという。不審に思った上司は、男に声をかけた。男と会話を交わした上司は、ジョニーさんにこう言ったという。
「職場に彼氏は連れてこないで」
この会話を聞いた男は、微笑むと手を振って出ていった。
男が出ていったのを確認すると、ジョニーさんは上司に話を聞いてもらった。その男のことをすべて、そしてその男が怖いということを。上司は誤解したことを謝ると、守ってくれることを約束してくれた。
その日のうちに上司はジョニーさんの両親に連絡し、何が起こっているのかを話してくれた。シフトが終わって帰る時にも、迎えに来てくれた父親の車まで、上司は一緒についてきてくれることに。
そして店を出ると、そこに男は立っていた。
上司は男に対し、「それ以上近づくと警察を呼ぶ」と声をかけた。様子に気づいて車を降りたジョニーさんの父親を見て、男はその場を立ち去った。
ジョニーさんはこの時、怖さだけではなく気まずさを感じたという。そして、自分に何か落ち度があったのではないかと自分を責めた。
次の日、店に再び男が現れると上司は警察を呼び、警察は男を連行。店とジョニーさんへの接近禁止令が言い渡され、全ては終わったかのように思えた。
しかし、次の日から男は、家の近所をうろつくようになり、家への電話も続いた。図書館に苦情の電話を入れると、図書館は男を解雇。敷地内への立ち入りを禁止した。
すると今度は授業を受けている彼女の近くをうろつくようになった。しかし、学生証を持っていないため、警備員が彼の接近を止めてくれていた。
ストーカーが死んだ
こんな生活が4ヵ月も続いたある日、男は急に姿を消した。心を入れ替えたというわけではなく、男はこの世から消え去ったのだ。交通事故によって。
そのニュースを新聞で知ったというジョニーさん。その時の気持ちを、「生きてきた中で一番安心した」と振り返る。「そんなこと言っちゃいけないと思うけど」と付け加えているが、これでストーカーから解放されたと思えば、19歳の女の子なら当然の反応だろう。
男に付きまとわれていた間、彼女はすべてのことが恐ろしかっただけではなく、恥ずかしさや後ろめたさを感じていたそうだ。
女性から共感の声が寄せられる
スレッドの元となったツイートは、7月16日に投稿されると10日間ほどで3万件以上のいいねをうけ、2万2700件を超えるリツイートを受けた。
「不快に思った男の行動に注意をすると、“やりすぎ”って言われることってあるよね」「女性はただ礼儀正しく接しているだけなのに、男からは思わせぶりだって思われてしまう。礼儀正しくしなければ、嫌な奴だと思われてそれ相当にあしらわれるし」「私も似た経験があるけど、学校は何もしてくれなかった。結局私が退学して引っ越したの」「こんなこと言っちゃいけないけど、その男が死んでよかった」など、女性たちから多くの共感の声が寄せられている。
ジョニーさんがこのツイートをするきっかけとなったのは、17歳の女の子がストーカーに殺された事件を知り、過去の感情がぶり返してきたから。
今では自分に責任はなかったと思えているが、当時はそうは思えなかったそうだ。そして、いまだに「なぜストーカーされたのかはわからない」と彼女はコメントしている。
When I was 19, I had a stalker. I would go to the library almost every day to study and use the computers. I just left the library and I heard someone calling my name, I turned around and this white guy was running up to me, never saw this guy before.
— Johnnie Jae aka The Brown Ball of Fury (@johnniejae) July 15, 2019