車に戻ろうとする黒人男性を警察官が背後から発砲、大規模な抗議デモが発生
先日、アメリカで黒人男性が背後から警官に撃たれる事件が起き、これに対し大規模な抗議活動が繰り広げられた。
背後から警察が黒人男性に発砲
その事件があったのは8月23日、場所はウィスコンシン州の街、Kenoshaとされている。
夕方の17時頃、黒人男性のJacob Blakeさん(29)は、2人の女性(恐らく家族)の喧嘩を収めようとしていたという。しかしそこへ警察がやってきて、Blakeさんを尋問。
やがて車へ戻ろうとするBlakeさんに対し、警察は背後から少なくとも7回発砲した。Blakeさんは重体となり、ミルウォーキーにある病院へ救急搬送されたという。
この時の様子は動画で撮影されており、その後SNSに投稿されて拡散した。(下の動画はショッキングな場面が写っているため、閲覧にはご注意頂きたい)
Wow. This Black man was shot several times in the back by @KenoshaPolice today. He was getting into his car after apparently breaking up a fight between two women. He’s in critical condition now. We demand JUSTICE! #BlackLivesMatter pic.twitter.com/I1reDEp4nw
— Ben Crump (@AttorneyCrump) August 24, 2020
3人の子供も車内にいた
事件の原因などについては、まだよく分かっていない。警察は当時、ボディカムを付けていなかったとされ、今回の事件についても調査中だとしてまだ公表していない。
Blakeさんには3人(3歳、5歳、8歳)の子供がおり、撃たれた当時車内にいたとも言われている。家族は子供の誕生日を祝うため、外出していたそうだ。
現在、Blakeさんは病院の集中治療室へ運ばれ手当てを受けており、容態は安定しているという。
Jacob Blake, the Wisconsin man who police shot 7 times, is alive and in stable condition 🙏🏾 pic.twitter.com/9h4RtQAD2O
— Kollege Kidd (@KollegeKidd) August 24, 2020
警察に非難が殺到
この事件の後、警察には多くの非難が殺到。再び警察による黒人に対する暴力が起きたとして、23日の夜には街で大規模なデモが起きた。
また街では暴動も起き、いくつかの会社の建物が破壊され、約50台の車に火がつけられたそうだ。
これに対しウィスコンシン州のTony Evers知事は、夜間外出禁止令を発令。公共の安全を守るためとして州兵、125名を街に配置したという。
しかし人々の怒りは全米で広まっており、ニューヨークのタイムズ・スクエアでも大規模なデモが起きている。
Hundreds of protesters march through Times Square in response to the police shooting of Jacob Blake in Wisconsin @CBSNewYork pic.twitter.com/JU8WVYSdJA
— Ali Bauman (@AliBaumanTV) August 24, 2020
Protesters in New York have taken over the Brooklyn Bridge, demanding justice for Jacob Blake. #BlackLivesMatter pic.twitter.com/dGNG00sz9b
— Rose Movement🌹 (@Rosemvmt) August 25, 2020
下はロサンゼルスのデモの様子。
Hundreds of protestors have taken to streets of Downtown Los Angeles demanding justice in the name of Anthony McClain and Jacob Blake. #BlackLivesMatter pic.twitter.com/UDTeeHyPFP
— Rose Movement🌹 (@Rosemvmt) August 25, 2020
また民主党の大統領候補のジョー・バイデン氏も24日声明を発表。この銃撃事件について、完全で透明性のある調査を求めた。
銃を発砲した警察官は現在休職しているが、この警官を起訴するよう求める請願書には数万人がすでに署名しているという。
ツイッターで警察を擁護する声
人権派の弁護士であるBen Crump氏は、Blakeさんの家族を代表して声明を発表。同時に動画をツイッターに投稿している。
その投稿には、次のように警察を擁護するコメントが寄せられている。
「彼(Blakeさん)は立ち止まって、警察に協力すべきだった。さもなければ、このようなことが起きる。止まらず協力しない者は誰でも、自らの運命を危険にさらすことになる。これは常識だ。特にこの不安定な環境の下では」
「彼は素早く車へ行った、何かを手に取るために。恐らく銃だ」
「彼が(車にある)銃を掴んで、振り向き、警官を撃つのに一瞬しかかからない。これは警察官が正しい」
「これは人種差別的な殺人ではない。警察の言うことを聞かなかった結果だ」
「なぜ彼は従わなかったの?警察官はこのような人たちに毎日対処している。警察官も自分の家族のいる家に帰りたいと思っている」
「何回、説明しなければならないんだ。このような銃社会で、警察の指示を無視してはダメだ」
一方で次のような意見も寄せられた。
「彼は車に行った、そこには武器があったかもしれない。警察官は何をするつもりだったと思う?彼に撃たせるつもりだったんだ。彼は指示に従わなかった。彼は生きていてラッキーだったよ」
「警察の立場に立つ皆が嫌いだ。警察官はこの男性に車へ戻ることを許している、彼を銃で撃つ理由を見つけるためにね。そこにはテーザー銃を持った警官が2人もいた。彼を車へ歩かせないようにすることができたはずだ。しかし警察官は、男性を車へ歩かせていき、7発も銃を撃ったんだ」
(了)
出典元:CBS:Police in Wisconsin shoot Black man in back multiple times, sparking protests(8/24)
出典元:CNN:Man who recorded Jacob Blake’s shooting says he’s traumatized and cannot sleep(8/25)
出典元:BBC:Kenosha shooting: National Guard deployed after black man shot(8/24)