海の中で暮らす新種のクモを発見、その名も「ボブ・マーリー」
海の中で暮らす新種のクモの詳細が明らかにされ、その名前とともに注目されている。
レゲエ・ミュージシャンの名前が付けられる
そのクモが発見されたのは2009年の1月11日、場所はオーストラリアのクイーンズランド州にある海岸とされている。
この調査に携わったのはクイーンズランド博物館と、ドイツのハンブルク大学の研究者たち。
Barbara Baehr博士とRobert Raven博士、そしてDanilo Harms博士のチームは潮が引いた後の海岸で、水中生活に適応したクモを採取。
その後の調査の結果、新種であることが判明し、レゲエ・ミュージシャンのボブ・マーリーにちなみ「Desis bobmarleyi」と名付けた。
海中ではフジツボやサンゴに潜んで暮らす
研究者らはその後、さらに調査を進め、このクモのさまざまな性質を明らかにし、専門誌の「Evolutionary Systematics」において発表した。
発表されたリリースによれば、この「Desis bobmarleyi」は人々に馴染みがあるクモとは異なり、完全な海洋生物とされ、潮が満ちるとフジツボやサンゴ、昆布の根などに潜んで暮らしているという。
そして呼吸をするためにクモの糸で空気の小さな部屋を作り、さらに潮が引くと隠れ家から出て、そばにある岩やサンゴ、海藻の表面を動き回る無脊椎動物などを捕食するとされている。
2009年1月の夜にオスとメスが採取され、その標本を基に新しい種と認定されたそうだ。
赤茶色を浮かべ、メスはオスより大きい
オスとメスは両方とも、全体的に赤茶色を浮かべており、足はオレンジがかった茶色をし、長くて濃いダークグレーの毛のような構造物の層で覆われているとか。
メスはオスより大きいと考えられ、採取されたメスは9mm、オスのほうは6mmしかなかったという。
ただこれらのクモの分布範囲はまだ分かっていない。現在はクイーンズランド州の北東部沿岸、グレートバリアリーフの潮間帯で存在が確認されているそうだ。
またサモアや西オーストラリアで見つかった、水中で暮らすクモの親戚とも考えられている。
調査している時に助けになった曲
しかしなぜ、このクモは「ボブ・マーリー」の名前が付けられたのだろうか。その理由について研究者は次のように語っている。
「(ボブ・マーリーの曲)『High Tide or Low Tide』は人生の苦難の中で愛や友情を育むという内容です。非常にユニークなクモを集めるために、オーストラリアのクイーンズランドの沿岸をフィールド調査した時の助けになったのが、この曲だったのです」
海の中で暮らすクモがいるのも驚きだが、それに付けられた名前もかなり珍しいと言えるかもしれない。(了)
出典元:Pensoft:New species of marine spider emerges at low tide to remind scientists of Bob Marley(12/22)