シリアへのミサイル攻撃当日、米大統領らの会議の様子を公開
シリアへのミサイル攻撃は世界中に衝撃を与えたが、その結果を見極めるトランプ大統領らの会議の様子が公開された。
●トップ・シークレットの会議の場面
この写真を公開したのはホワイトハウスの報道官であるSean Spicer氏。
彼によればこの写真はフロリダの別荘「マー・ア・ラゴ」の地下にある部屋で、トップ・シークレットの会議の様子を写したものだという。
そこにはトランプ大統領を初め、ティラーソン国務長官など主要メンバーが揃い、シリアへのミサイル攻撃の結果について話し合いが行われていたそうだ。
WH photo (ed for security): @potus receives briefing on #syria military strike fr Nat Security team, inc @vp , SECDEF, CJCS via secure VTC pic.twitter.com/aaCnR7xomR
— Sean Spicer (@PressSec) 2017年4月7日
会議は中国の習近平国家主席とのディナーが終わった後に行われたとし、この時マイク・ペンス副大統領やジェームズ・マティス国防長官などはこの場にはおらず、ビデオ会議で参加していたとされている。
●娘婿がテーブルに、バノン氏は壁際
この写真は先週の金曜日に公開され、多くのマスコミも取り上げたのだが、BBCはそこに大きな権力構造の変化がみられると指摘している。
その変化とは首席戦略補佐官のスティーブ・バノン氏が、大統領の右手奥、壁際に追いやられているという点。
もう1つはイヴァンカさんの夫である、ジャレッド・クシュナー上級顧問がトランプ大統領の右側、ちょうどテーブルの真ん中あたりに座っている点だという。
●側近グループの主導権争いが激化?
バノン氏とは保守系ニュースサイトの元会長で極右的な国家主義者とされ、大統領選挙でもトランプ氏を応援し、政権が発足した1月には安全保障の決定機関「国家安全保障会議(NSC)」の常任メンバーに指名された。
彼は白人至上主義者とのコネクションを築いており、常任委員となった後も有利な立場を利用し、イスラム教徒の入国禁止令や移民制限といった政策を推し進めてきたと言われている。
しかしバノン氏は本来外交・安保の専門家ではない。そのためH.R.マクマスター大統領補佐官がNSCの再編を大統領に要求。保守本流の外交政策の専門家で固めるよう求めたという。
その結果、4月5日にバノン氏はNSCの常任メンバーから外されたのだが、これによりトランプ政権内部での側近グループの主導権争いが激化していると囁かれてきた。
●バノン氏を批判してきたクシュナー氏
無論、バノン氏が常任メンバーを外されても、首席戦略補佐官としての地位は変わらず、国家安全保障についての機密情報に接することが可能で、NSCの会議にも出席できるという。
ただし今後、NSCは軍人出身のマクマスター大統領補佐官が取り仕切り、従来の共和党らしい外交政策を推し進める可能性が出てきた。
またクシュナー氏も大統領の上級顧問に指名されているが、以前からバノン氏の極右的思想がトランプ大統領の発言に悪い影響を与えていると批判し、また中国との関係においても彼とは対立関係にあったと言われている。
そしてバノン氏をNSCの常任メンバーから外すよう、トランプ大統領に助言したのもクシュナー氏と考えられているそうだ。
●写真から主導権争いの結果が見える?
BBCは、この写真では明らかにバノン氏の力が低下し、クシュナー氏の優位性が増しているように見える、と伝えている。
無論、この1枚の写真だけで政権内部の力関係がどうなっているのかなど、正確に見分けることはできない。
しかしトランプ大統領は「アメリカは世界の警察官にはならない」と主張していたが、今回シリアに攻撃を行うなど、従来の主張とは異なる姿勢が見られる。もしかしたら政権内部でのこのような変化が、政策方針にも影響を与えたのかもしれない。(了)
出展元:BBC:Decoding the Trump ‘war room’ photograph(4/7)