有罪となった多くテロリストが人権法によって国外追放を免れている:英政府調査
イギリス政府による調査で、テロリストらが人権法によって国外追放を免れているという実態が浮き彫りにされた。
●送還されず、刑期を終え自由の身に
この調査を行ったのはイギリスの内務省。英紙Telegraphによれば、今までに40人以上のテロリストが人権法を利用し、国外退去処分を免れてきたという。
またこの調査では、外国生まれのテロの容疑者らが、裁判でどのように本国への送還を防いできたのかも明らかになったそうだ。
実際、2005年7月21日に失敗に終わった爆弾事件とつながりのあるイスラム過激主義者らも、強制送還を回避するために人権法を活用したと考えられている。
そしてテロの容疑者らはイギリスの刑務所に送られ、やがて刑期を終えた後に、再び釈放されてきたという。
以前、アルカイダの訓練キャンプに資金援助を行なった容疑で逮捕されたアルジェリア人のテロリストも、その後釈放され、イギリス国内で自由の身となっているそうだ。
●虐待や拷問を防ぐ法律も効果なし?
この報告はテリーザ・メイ首相が以前、内務大臣だった時に「保証が与えられた強制送還(DWA)」とよばれる法律の効果を調べるために行われたとされている。
人権法ではテロの容疑者だとしても、本国へ送り返した際に虐待や拷問を受ける可能性がある場合には強制送還はできない、とされてきた。
そのため虐待や拷問が加えられないという保証をつけ、容疑者らを本国へ送還できる手段として、このDWAが作られたという。
その結果、2013年にはアルカイダと強いつながりがあるAbu Qatada容疑者が国外退去処分となり、ヨルダンに送り返され、これまで合計12人が強制送還されたそうだ。
しかしながらDWAもいまだに多くのテロリストらを国内にとどまらせることを許しており、イギリスでは今年に入って数多くのテロ事件が続発している。
この報告書の共同執筆者であるClive Walker教授は、取材において次のように述べている。
「私の調査ではイギリスには有罪となった40人以上ものテロリストらがおり、彼らは人権法を使い国外退去処分を避けています。この数字は、以前考えられていたものよりも、ずっと多いものです」
イギリス政府は現在、頻発するイスラム過激主義者らによるテロへの対応に迫られているという。(了)
出展元:The Telegraph:Exclusive: More than 40 convicted terrorists have used human rights laws to remain in UK(6/24)