国連総会、圧倒的多数でガザ地区での停戦要求を可決
国連総会が12月12日に開かれ、ガザ地区での「即時停戦」を要求する決議案について、採決が行われた。
153カ国の賛成で可決
この決議案では、人道的観点からイスラエル軍に対し「即時停戦」を求めており、採決の結果、賛成153カ国、反対10カ国、棄権23カ国となり、圧倒的多数で可決された。
反対票を投じたのは、アメリカ、イスラエル、オーストリア、パラグアイなどが含まれ、イギリスは棄権したという。
一方、アメリカは、10月7日の「ハマス」による襲撃と、人質誘拐を非難する修正案を提出。しかし賛成84カ国、反対62カ国、棄権25カ国となり、必要な3分の2に届かず、棄却された。
In favour: 153
Against: 10
Abstentions: 23
UN General Assembly adopts resolution on the Middle East demanding a humanitarian ceasefire, the protection of civilians, the immediate, unconditional release of all hostages and humanitarian access. pic.twitter.com/0szWbQQJVb
— United Nations (@UN) December 12, 2023
米やイスラエルへの非難の声
国連総会の決議は、安全保障理事会とは異なり拘束力はないものの、採決の前には、イスラエルやアメリカに対する、非難の声が相次いだ。
国連総会議長のデニス・フランシス氏は演説において、イスラエル軍の暴力を「人道的大惨事」と呼び、次のように非難した。
「民間人は、私たちが現在目の当たりにしているレベルの苦しみを、決して経験すべきではない。もう一度尋ねますが、私たちが何かをする前に、あと何千人の命が失われなければならないのですか?もう時間は残されていません。大虐殺は止めなければなりません」
またパキスタン代表のムニル・アクラム氏も、イスラエルによるパレスチナ人へ攻撃を「一方的な虐殺」と呼び、10月7日の「ハマス」による越境攻撃は、これまでのイスラエルによるパレスチナ人の酷い扱いが原因だとの見方を示した。
その上で、アクラム氏は、イスラエルが自衛のために行動することを認めるべきだとする、アメリカなどの主張を批判。「処罰もされずに、1万8000人の民間人を殺害できるというのは、正当な自衛だろうか?」と疑問を呈した。
UN Security Council envoys have visited Gaza’s Rafah border crossing with Egypt to see just how dire the humanitarian situation in the besieged enclave is as Israel continues its all-out assault ⤵️ pic.twitter.com/jYkQlLvAev
— Al Jazeera English (@AJEnglish) December 12, 2023
カナダ・豪、NZも停戦を求める
またカナダやオーストラリア、ニュージーランドも、ガザ地区での停戦に向けた努力を求める共同声明を発表した。
これは安全保障理事会で、アメリカが拒否権を行使したことを受けたもので、カナダやオーストラリア、ニュージーランドの首相は、「パレスチナの持続可能な停戦に向けた取り組みを支持している」とし、共同声明で次のように述べたという。
「われわれは一時的な休戦が再開されることを望み、持続可能な停戦に向けた緊急の国際努力を支援したい。私たちはガザ地区の民間人にとって、安全な空間が減少していることに懸念を抱いています。ハマス打倒の代償が、パレスチナ民間人全員の継続的な苦しみであってはなりません」
アメリカのバイデン大統領は12月12日、選挙キャンペーンでの演説において、「数千人のパレスチナ民間人を殺害した無差別爆撃により、イスラエルは国際社会からの支持を失い始めている」との認識を示したという。
その上で「ネタニヤフ首相は強硬な政権を変える必要がある」とも述べたそうだ。
赤十字の職員も拘束される
ガザ地区では、パレスチナ赤新月社(PRCS)の職員が、イスラエル軍によって拘束されている。
世界保健機関(WHO)によると、11月22日、ガザ地区北部にあるアル・シファ病院から患者を移送する途中、ガザ地区の保健当局の職員とPRCSの職員、6名がイスラエル軍に拘束されたという。
そのうち2名のPRCSの職員が解放され、11日にはWHOのチームがその職員らと会うことができたそうだ。
職員の男性の話によれば、彼らはイスラエル兵により殴打され、脅迫を受け、衣服を剥ぎ取られ、目隠しをされたという。
また職員は解放された時も後ろ手に縛られたまま、服も靴も履かずに、南へ向かって歩かされたそうだ。
ガザ地区保健当局の3名と PRCS 職員1名の計4名は、3週間以上経った現在も拘留されたままだという。
さらに国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリーニ事務局長は、イスラエル軍が国連の運営する学校を攻撃したことについて、「言語道断」だと非難した。
ラッザリーニ事務局長はSNSの「X」への投稿で、病院や国連運営の学校などの公共施設は国際法で保護されていると述べたそうだ。
A video shows the moment Israeli forces blew up a UNRWA school building in Beit Hanoun in northern Gaza, which they say was being used as a Hamas outpost.
UN schools and buildings, which shelter thousands of displaced Palestinians in Gaza, continue to be targeted by Israel ⤵️ pic.twitter.com/LkUzb7OuG9
— Al Jazeera English (@AJEnglish) December 12, 2023
ガザ地区では現在もイスラエル軍による攻撃が行われており、パレスチナ保健当局は12日、10月7日以来のイスラエルによる攻撃で1万8412人が死亡、5万100人が負傷したと発表した。(了)
出典元:The Guardian:Israel-Gaza war live: UN general assembly overwhelmingly votes to demand ceasefire; Biden says Israel ‘starting to lose support’(12/12)
出典元:Aljazeera:Israel-Hamas war live: UN General Assembly passes Gaza ceasefire resolution(12/12)