国際司法裁判所、ドイツの「ジェノサイド条約違反」について審理を開始
オランダ・ハーグにある国際司法裁判所(ICJ)は4月8日、ドイツに対して暫定措置を科すよう求めた、中米・ニカラグアの申し立てに対して、2日間のヒアリングを開始した。
ドイツがジェノサイド条約に違反と主張
ニカラグアは、ドイツがガザ地区で攻撃を続けるイスラエルを支援しており、大量虐殺に加担しているとして、国際司法裁判所に提訴していた。
オランダに駐在するニカラグアのカルロス・ホセ・アルゲロ・ゴメス大使は8日、ドイツがイスラエルに武器を供給し続け、1948年のジェノサイド条約に違反したと主張。国際司法裁判所において、次のように訴えた。
「ドイツが、ガザ地区でジェノサイドが行われる深刻なリスクに、よく気が付いていたことは疑いの余地がない」
その上で同大使は、ドイツに対しイスラエル支援の停止を命じるよう、国際司法裁判所に求めた。
ニカラグアは3月に提出した書面において、ドイツがイスラエルに政治、財政、軍事的支援を提供する一方で、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金援助を打ち切ったと指摘。
また、パレスチナ人へのジェノサイドを防ぐためにあらゆる措置を取る義務を怠り、これはジェノサイド条約違反だと指摘していた。
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— CIJ_ICJ (@CIJ_ICJ) April 8, 2024
2番目に大きな武器供給国
ストックホルム国際平和研究所によると、ドイツはイスラエルの重要な同盟国の1つであり、アメリカに次いで、イスラエルへの2番目に大きな武器供給国で、イスラエルの武器輸入量の30%を占めているという。
ドイツ経済省のデータでは、2023年にイスラエルに対し、3億2700万ユーロ(約539億円)分の軍事装備と武器を輸出しているそうだ。
またドイツは、巨大な金融・経済面においても、イスラエルのパートナーとされており、今回のガザ侵攻においても、無条件でイスラエルを支持してきた。
ハンユニスでは瓦礫から56人の遺体を回収
一方、イスラエル軍が撤退したことを受け、ガザ地区南部のハンユニスでは、住民らが自宅に戻り始めたという。
しかし、ここでは過去数カ月に及び、イスラエル軍による激しい攻撃が続けられたため、町は完全に破壊され、もはや人間が住める状態ではないと言われている。
また救急隊員は、ハンユニスにおいて、瓦礫の中から56人のパレスチナ人の遺体を発見し、回収したそうだ。
ガザ地区の保健当局は4月8日、これまでに3万3207人のパレスチナ人が死亡、7万5933人が負傷したと報告している。また過去24時間に、少なくとも38人が死亡したという。
イスラエル首相、ラファへの攻撃を明言
イスラエルのネタニヤフ首相は、100万人以上のパレスチナ人が避難しているガザ南部のラファへの地上攻撃を実施すると、改めて主張した。
ネタニヤフ首相はビデオ演説で、「勝利にはラファ作戦が不可欠だ。それは起こるだろう。日程は決まっている」と述べたという。
しかしアメリカを含む国際社会は、約140万人の民間人が危険にさらされるとして、この作戦に反対している。(了)
出典元:Al Jazeera:Israel’s war on Gaza live: No ceasefire deal ‘on the horizon’(4/8)