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イランとアメリカとの核協議、これまでの流れと、互いの主張とは?

イランとアメリカとの核協議、これまでの流れと、互いの主張とは?
X_NY Post Opinion

アメリカがイランへの攻撃を示唆しているが、両国の核協議は、どのように進んでいったのか?

 

トランプ政権が「核合意」から一方的に離脱

 

そもそもイランが、密かに核開発を進めているという疑いが表面化したのは2002年。その後、2015年のオバマ政権時代、イランはアメリカやイギリスなど6カ国と「イラン核合意」を結んだ。

 

この合意ではイランがウラン濃縮など、核開発を大幅に制限するかわりに、アメリカを含む主要6カ国が、イランに対する制裁を段階的に解除する予定だった。

 

またこれは、国連安全保障理事会のお墨付きも得た、国際合意だったと言われている。

 

しかし2018年、1期目のトランプ大統領は、「イラン核合意」から一方的に離脱。イランへの制裁を再び発動させた。

 

その後、イラン側はトランプ政権による制裁に対抗するため、ウランの濃縮度を「イラン核合意」で認められた3.67%から、60%近くまで大幅に引き上げたという。

 

この水準は、その気になれば、すぐにウランの濃縮度を90%に引き上げるのに数日しかかからないレベルとされている。

 

また専門家は、イラン側に、すでに約6個分の核兵器に相当する量の、濃縮ウランの備蓄があると見ているそうだ。

 

ただし、イラン側はこれまでも、核を平和的に利用しているだけであり、核兵器の開発は一切行っていないと一貫して主張している。

 

今年に入ってイランとの核協議を再開

 

ところが2025年、トランプ氏は2期目の大統領に就任すると、イランとの核協議を再開。今年の2月、トランプ氏はイランと「核和平協定」を結びたいという考えを示した。

 

そして今年の4月に3回、5月にも11日と23日に、アメリカの代表団とイラン側が協議を行ってきた。

 

アメリカの代表であるウィトコフ特使は、5月23日の5回目の協議で、イランに対し、ウラン濃縮の「完全な停止」を要求。原子力発電など、核の平和利用の権利は認めるものの、必要な核燃料は、外国から輸入すべきだと主張した。

 

一方、イラン側の代表であるアラグチ外相は、「平和目的のウラン濃縮は、NPT=核拡散防止条約の加盟国に認められた当然の権利だ」と主張。アメリカ側が、ウラン濃縮の停止に固執するなら協議を続けることはできないとし、制裁の解除を強く要求したという。

 

懸念とされる「フォルドゥ燃料濃縮施設」

 

アメリカとしては、同盟国のイスラエルの安全を確保するために、イランが核兵器を手に入れないよう、ウラン濃縮の完全な停止を求めており、イラン側の「平和目的」という主張を疑っている。

 

その根拠とされているのが、イラン中部の都市、コム近郊にある「フォルドゥ燃料濃縮施設」だ。ここは地下にある大規模な施設で、現在、2700台の遠心分離機が設置されていると考えられている。

 

2009年、当時のオバマ大統領は、フランスのサルコジ大統領やイギリスのブラウン首相と共に「フォルドゥ」の存在を公表し、「この施設の規模と構成は、平和的核計画とは相いれない」との見方を示した。

 

その後も、イスラエルの諜報機関が「フォルドゥ」の情報を入手。この施設の目的が、イランの核兵器計画の一環として、少なくとも年間1~2発の核兵器を作るための兵器級ウランを製造することだとの見方を示した。

 

以来、この施設はイランの核戦略の疑惑として、アメリカやイスラエルなどの懸念の中心となってきたという。

 

そして今回、トランプ大統領は「フォルドゥ燃料濃縮施設」を攻撃するため、イスラエルとイランとの紛争への介入に踏み切ろうとしている。

 

ただ一部の専門家は、そもそもトランプ政権がイスラエル側に促され、イラン側にウラン濃縮の「完全な停止」を要求したことが、現在のような事態になったとの見方を示している。(了)

 

参考:NHKキャッチ!世界のトップニュース:米・イラン核協議の行方(5/29)

参考:Aljazeera:LIVE: Israel, Iran continue missile attacks; 144 killed in Gaza in last 24(6/18)

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