米軍の船舶に対する攻撃は国際人権法に違反、国連が停止を要請

アメリカ軍はこれまでも、ベネズエラ沖などを航行する船舶を攻撃してきたが、国連はこの行動を非難した。
国連人権高等弁務官「攻撃を停止せよ」
トランプ政権は、これまでもカリブ海や太平洋を航行する船が、麻薬密輸船だと主張し、アメリカ軍に攻撃の命令を出し、空爆をし続けてきた。
しかし国連人権高等弁務官のフォルカー・ターク氏は10月31日、声明を発表し、アメリカ軍による船舶への空爆は、国際人権法に違反しており、停止しなければならないとし、次のように述べた。
「これらの攻撃、そして増大する人的被害は容認できない。アメリカはこのような攻撃を停止し、どのような犯罪行為が疑われていようとも、これらの船舶に乗っている人々の超法規的殺害を阻止するために、必要なあらゆる措置を講じなければならない。国際人権法の下では、意図的な致死的な武力の使用は、差し迫った生命の脅威をもたらす個人に対する最後の手段としてのみ許容される。アメリカ当局が公表した情報は極めて乏しいが、標的となった船舶の乗組員は、他者の生命に差し迫った脅威を与えたようには見えず、国際法上、彼らに対する致死的な武力行使を正当化するものはなかった」
ホワイトハウスは反発
これに対し、ホワイトハウスのアナ・ケリー副報道官はABCニュースに対し、トランプ大統領がアメリカの安全保障に対する脅威の排除に取り組んでいるとし、次のように主張した。
「国連は、エスカレーターの設置(トランプ氏の乗ったエスカレーターが止まる出来事)から戦争終結まで、あらゆる面で失敗してきた。今になって国連がトランプ大統領に説教し、アメリカ国民を殺害しようとする邪悪な麻薬テロリストを庇護しているのは滑稽だ。大統領は、沿岸に毒物を持ち込もうとする者から我が国を守るため、武力紛争法に基づいて行動した。そして、麻薬カルテルと対峙し、人命を奪う国家安全保障上の脅威を排除するという約束を果たしている」
トランプ大統領とピート・ヘグセス国防長官は9月以降、カリブ海と東太平洋で船舶に対する十数回の軍事攻撃を命じ、これまでに60人以上が死亡したとされている。
しかし両者とも、この攻撃について、殆ど情報を提示しておらず、人権団体や野党からも正当性を疑う声が上がっている。
トルコ外相の報道官、ラビナ・シャムダサニ氏も10月31日、国連での記者会見でアメリカ軍の攻撃を批判。通常の手続きで、裁判を行うべきだとし、次のように述べた。
「アメリカは、長年にわたり支持してきた適正手続きと公正な裁判という法の支配の基本原則に基づき、重大犯罪で告発された個人を捜査し、必要であれば起訴・処罰すべきだ」(了)
出典元:ABC News:UN accuses US of breaching international law with deadly airstrikes on boats in Caribbean and Pacific(11/1)


























