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「香港の書店店主を誘拐した」亡命を希望する中国人スパイが豪情報部に告白

「香港の書店店主を誘拐した」亡命を希望する中国人スパイが豪情報部に告白
flickr_Craig Nagy

中国人の元スパイがオーストラリアの情報部に対して、これまでのスパイ活動について告白していると、多くのメディアが伝えている。

 

香港でさまざまなスパイ活動を行う

 

オーストラリアのメディア「Nine network」によれば、中国の元スパイであるWang “William” Liqiang氏が「オーストラリア保安情報機構(ASIO)」に対し、2015年に、香港で本屋を営んでいた店主、5人のうち1人の拉致に関与したことを認めたという。

 

この事件は中国共産党に批判的な内容の書籍を販売したとして、複数の本屋の店主が行方不明になったもので、中国政府によって本土に連行されたとの噂もあり、犯人を引き渡す逃亡犯条例に端を発した現在の香港デモの、引き金の1つになったとも言われている。

 

またWang氏はASIOに対する宣誓陳述書においても、香港を拠点とする投資会社「China Innovation Investment」の一員として、香港における政治的、経済的なさまざまなスパイ活動を行っていたと説明。複数の大学への潜入、反体制派へのサイバー攻撃などを指揮していたとも語ったそうだ。

 

台湾の総統選挙にも関与する計画があった

 

さらにWang氏は韓国のパスポートを使い、2018年には台湾の市会議員選挙にも干渉。来年1月に行われる予定の台湾総統選挙を混乱させる計画もあったと説明している。

 

しかも中国に融和的な総統選挙の立候補者の一人、高雄市の韓国瑜市長に対して約2000万元(約3億1000万円)の選挙活動資金を提供するのを支援したという。

 

もっとも韓市長は、この事実を強く否定。「もし中国共産党から1元でも貰っていたら、私は高雄市長を辞職するでしょう」と人々に訴えている。

 

シドニーに住み、亡命を希望

 

Wang氏は旅行ビザでオーストラリアのシドニーを訪れ、現在そこで妻と幼い息子とともに住んでおり、政治亡命を希望しているという。

 

そしてもし中国に引き渡されれば、拘束されて処刑される可能性もあると語っている。

 

オーストラリアの内務省は個別のケースには答えられないとした上で、「ビザを保護する目的は、危害を加えられまたは迫害される恐れから、本国へ帰れない人々を守ることです」と述べている。

 

一方、Wang氏の告発について、中国の外務省は問い合わせには答えておらず、香港の投資会社も、質問に回答していない。

 

オーストラリアの財務大臣も懸念

 

オーストラリアではASIOの前長官であるDuncan Lewis氏が11月22日、「中国がオーストラリアの政治システムを乗っとろうと企てている」と発言し、物議をかもしている。

 

資源が豊かなオーストラリアは輸出売上の3分の1を中国に頼っており、政府も外国人の政治献金や外国からの全ての干渉を禁止することにより、中国の影響を中和させようと努力してきたという。

 

財務省のJosh Frydenberg大臣はWang氏の告発に関し、11月23日にリポーターに対して「オーストラリアや香港、台湾の民主的なシステムを混乱させている中国への詳細は告発は、非常に不安にさせる」と発言している。

 

このような懸念に対して、Scott Morrison首相は一蹴。「国の情報部はどんな脅威に対しても掌握している」と述べている。(了)

 

 

出典元:ABC News:Self-confessed Chinese spy spills secrets in Australia(11/23)

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