中国の報道官が戦争犯罪をイメージさせる画像を投稿、豪首相は謝罪を要求
中国の報道官がツイッターに、オーストラリア軍に関する投稿を行い、両国の緊張が高まっている。
戦争犯罪をイメージさせる投稿
中国の趙立堅報道官は11月30日、ある画像をツイッターに投稿した。
その画像はオースラリア兵が血の付いたナイフを手に持ち、羊を持ったアフガニスタンの少年の首に突き付けているもので、「恐れないで、我々はあなたたちに平和をもたらすために来ている」といったキャプションがつけられていた。
この画像はアフガニスタンでオーストラリア軍が戦争犯罪を行ったようにイメージさせるために投稿されたと考えられている。
オーストラリアのスコット・モリソン首相は、この投稿を行った中国政府を非難。恥ずべき行為だとして謝罪を求めたという。
豪兵が39名の市民や受刑者を殺害した容疑
実は11月の初め、信頼できる情報として、2009年から2013年の間、アフガニスタンに駐留していたオーストラリア軍兵士25名が、39名の市民や受刑者を違法に殺害したと報告された。
この情報はオーストラリア国防軍の聞き取り調査からもたらされ、世界各国から非難の声が寄せられたが、現在この件については警察が捜査を続けており、まだ結論は出ていない。
また今回投稿されたイメージは、オーストラリア軍の特殊部隊員が、2人の14歳の少年を殺害した疑惑を、示唆するものと考えられている。
少年殺害については立証できず
しかしこの事件に関しても、オーストラリア放送協会は、国防軍の報告書ではこれらの疑惑への申し立てを立証しえなかった、と報道している。
ただ報告書には、特殊部隊内で独特な「兵士文化」が存在し、違法な殺害が行われた明らかな証拠が見つかったと記されていたという。
それらの証拠には、新兵が最初の殺害のために囚人(または捕虜)を射殺することを奨励していたことも含まれていたそうだ。
中国政府を非難、削除要請
モリソン首相は「オーストラリアは、民主的でリベラルな国に期待されているように、疑惑の戦争犯罪を調査するための透明なプロセスを確立している」と主張。
その上で、「中国政府はこの投稿を完全に恥じるべきだ。それは国際社会の中で中国を貶めることになる。それは偽の画像であり、私たちの防衛軍へのひどい中傷だ」と述べて中国政府を非難した。
またオーストラリア政府は、中国報道官の投稿を「デマ」だとしてツイッター社に削除を求めた。しかし現時点では、まだ削除されていない。(了)
出典元:BBC:Australia demands China apologise for posting ‘repugnant’ fake image(11/30)
参考:BBC Japan:オーストラリア、「不快な」フェイク写真めぐり中国に謝罪要求(11/30)