ロシア軍の行為は「ジェノサイド」か?各首脳で表現が分かれる
先日、アメリカのバイデン大統領は、ウクライナでのロシア軍の行為を「ジェノサイド」と呼び、これまでにない言葉で強く非難した。
しかし西側諸国の首脳の間では、この表現を使うどうか、で意見が分かれている。
カナダの首相も「ジェノサイド」だと主張
アメリカのバイデン大統領は12日、アイオワ州での演説で、初めてロシア軍の行為を「ジェノサイド」と呼び、非難した。「ジェノサイド」とは、特定の国民や民族などを計画的に抹殺・虐殺することを指す。
カナダのジャスティン・トルドー首相も、バイデン大統領が「ジェノサイド」という言葉を使ったことは正しいと主張。さらにロシア軍やプーチン大統領が行っていることについて、より多くの人が「ジェノサイド」という言葉を使うようになっている、と述べた。
その上で「われわれは、ロシア軍が市民を攻撃することや、戦争の武器として性暴力を行っているおぞましい姿を見てきた。これは絶対に受け入れることはできない」と語ったという。
フランスやドイツの首脳は使わず
一方でフランスのマクロン大統領は、まだ「ジェノサイド」という言葉を使っていない。
マクロン大統領は、世界のリーダーが「言葉のエスカレーション」を避けるよう、注意深くなるべきだと釘を刺し、次のように述べた。
「ロシアは一方的に、最も残酷な戦争を解き放ったと言えるかもしれない。今や、ロシア軍によって戦争犯罪が行われていることは、確実なものとなっている。ロシア軍の責任の所在を見つけ、正義の場に立たせることが必要だ。しかし同時に、私は事実を見ている。私はこの戦争を終わらせ、平和を再構築できるようにするために、できる限り、続けたいと考えています。私には、言葉のエスカレーションが、そのことに資するとは思えません」
President Emmanuel Macron of France declined to describe acts by Russian troops in Ukraine as “genocide” on Wednesday, citing the risks of an “escalation of words” even as President Biden and Estonia’s prime minister used the term this week. https://t.co/FTnM60ltum
— New York Times World (@nytimesworld) April 13, 2022
ドイツのショルツ首相も、ラジオのインタビューで、「(ロシアによって)戦争犯罪が行われている」と発言。しかし「ジェノサイド」という言葉は使わず、次のように述べたという。
「これは東ヨーロッパにおける酷い戦争だ。私は(この戦争を)矮小化すべきものではないと考えています。戦争犯罪が行われているのです」(了)
出典元:The Guardian:Russia-Ukraine war latest: Zelenskiy pleads for weapons to avoid ‘bloodbath’; Trudeau echoes Biden on use of word ‘genocide’(4/13)