AIを党首にした新政党、11月選挙で議席を狙う【デンマーク】
デンマークで新たに結成されたSynthetic(シンセティック)党という政党は、AI(人工知能)が作った基本方針に従って活動するという珍しい党だ。ちなみに「Synthetic(シンセティック)」という言葉には、「合成の」「総合の」「人工の」と言った意味がある。
ボイスチャットで話すAI党首
今年11月に行われるデンマークの総選挙で、支持されていないようだが、注目はされているというSynthetic党。その党首は「Leader Lars」という名のAIだ。法律上、人間以外は党首になれないので、この党首は公認されていない。なので、Leader Larsの意見をそのまま伝える代理人が、書類上では党首ということになっている。
Synthetic党は、デンマークのアーティスト集団「Computer Lars」と、芸術・テクノロジーの非営利団体「MindFuture Foundation」が、今年5月に合同で結成した。その際に党首となるLeader Larsを作った。このAIは人型ロボットではなく、実体はない。だが、Discordというチャットサービスを通して意見を聞いたり、相談したりできるという。
弱小政党がやりたかったことを総まとめ
政治的には、AI党首の珍しさより、その党首が決める政策が大事だ。AI党首はどのような政策を思い描いているのだろうか? この点について、Synthetic党の創立者であるAsker Staunæs氏はこう言う。
「我々は全ての弱小政党のデータを代表するのです。弱小政党とは、議会で議席を獲得できなかった全ての政党のことです。彼らは独自の政治的ビジョンを持っていながら、資金不足からそれを実現できませんでした」
Leader Larsはのプログラミングは、一度も議席を獲得しなかった1970年以降の政党の政策要項を基にして行われたそうだ。つまり、弱小政党がやりたかったことの総まとめが、Leader Larsの頭の中にあると言っていいだろう。
11月の総選挙にLeader Lars(の代理人)が出馬するには、まず2万人の署名が必要なのだそう。現在集まっている署名は11人分とのこと。(了)
出典元:Odditycentral:This Political Party Is Led by an AI Entity(10/21)
出典元:VICE:This Danish Political Party Is Led by an AI(10/13)