ロシアのプーチン大統領が兵士の母親らと会合、戦線での悲惨な状況とは?
ロシアのプーチン大統領は11月25日、ウクライナで戦う兵士の母親たちと会合を行った。
「特別軍事作戦に後悔はない」
これはロシア国営放送で事前に収録された会合で、プーチン大統領はモスクワ郊外の邸宅に兵士の母親たちを招き、お茶やケーキ、新鮮なベリーが盛られたテーブルを囲みながら、発言したという。
プーチン大統領はまず、母親たちを前に「テレビで見たり、インターネットで読んだりしたことを、すべて信じてはならない」「紛争について多くのフェイクが出回っている」と主張したそうだ。
また大統領は、ウクライナに対する「特別軍事作戦」を開始したことに後悔はないと述べ、この戦争を、ロシアが西側の覇権主義に立ち向かった分水嶺だったと位置づけたという。その上で次のように述べている。
「息子を失った悲しみは何物にも代えがたいものであり、特に母親にとっては大きなものであることを、私たちは理解しています。私たちはこの痛みを分かち合っています。私個人も、そして国の指導者全体も、あなた方の痛みを分かち合っていることを知ってほしい」
Putin for the first time meets with wives and mothers of Russian soldiers after numerous pleas from families trying to return their relatives home, complaining about lack of basic goods and the abysmal conditions, and some cases of mothers storming enlistment offices. pic.twitter.com/pCTlH5sx5T
— Mary Ilyushina (@maryilyushina) November 25, 2022
いずれも「戦争推進派」の女性たち
母親からのプーチン大統領へのコメントはすぐには放送されなかったようだが、実はここに集められた母親たちは、いずれも「戦争推進派」の人物だったという。
実際にこの場にいた母親たちは、元政府の高官や、チェチェン共和国の軍や警察幹部の母親、国から資金提供を受けている戦争推進NGOで活動する女性たちだったそうだ。
兵士の権利を守る活動家たちは以前から、ロシア政府がスキャンダルを防ぐために、兵士の母親を厳選し、あるいは偽って参加させるだろうと予想していたと語っていた。
つまりこの会合は、動員に対する国民の怒りを静めることを意図して、慎重に演出されたものだったと考えられている。
ドネツク州の戦闘で900人が死傷か
一方、「プッシー・ライオット」の2人が立ち上げたロシアの独立系サイト「Mediazone」は、ロシア軍第155親衛海軍歩兵旅団の兵士が書いた記録を掲載している。
それによればウクライナのドネツク州南西にある村、Pavlivka付近の戦闘では、旅団から900人の死傷者が出たという。
この旅団は以前、公開書簡で300人の兵士を失ったとして、軍の指導者を非難していた。
またこの旅団の別の兵士は、3カ月間の戦闘で450~500人の兵士が殺されたと主張。次のように記録に書いている。
「誰もが意気消沈している。誰も喜んではいない、なぜなら多くの仲間が死んだからだ。個人的には2日間で4人の友人が亡くなった。人々は脱走を考えているが、私はそれを理解している。私はいつも祖国に忠誠を尽くしてきたので、このような(脱走の)考え方を非難していたが、今はおそらく生き残るための唯一の方法なのでしょう」
この兵士によれば、多くの犠牲者が出ているにもかかわらず、将軍は戦術を変えようとせず、旅団の兵士をなだめるために勲章を与えているという。(了)
出典元:The Guardian:Putin talks to mothers of soldiers fighting in Ukraine in staged meeting(11/25)
出典元:The Guardian:Russia-Ukraine war: shelling forces Kherson hospitals to evacuate as UN warns millions plunged into hardship – as it happened(11/25)