習主席とプーチン大統領が4時間以上も非公式に会談、中国の和平案とは?
中国の習近平国家主席が3月20日、ロシアを訪問し、プーチン大統領と非公式の会談を行った。
「我々は常に交渉の用意がある」
モスクワを訪れた習主席は、プーチン大統領と非公式(略式・あるいは形式ばらない)会談を行い、会談は4時間以上も続けられたという。
習主席は「中国とロシアはよい隣人であり、信頼できるパートナーである」と述べ、「2024年の大統領選挙で、ロシア国民がプーチン氏を支持するだろう」との見方を示した。
一方、プーチン大統領は、中国によるウクライナでの危機を終わらせるための和平案を歓迎。「高く評価している」とし、次のように述べた。
「ご存じのように、我々は常に交渉の用意があり、あなたの提案を含め、すべての問題について議論することになるでしょう」
中国のウクライナ和平案とは?
中国のウクライナ和平案とは、2月24日に中国外交部が発表したポジションペーパーにまとめられている。これはウクライナ侵攻に対する、中国の立場をまとめた12項目からなる。
(1)各国の主権尊重
(2)冷戦思考の排除
(3)停戦、戦闘の終了
(4)和平対話の始動
(5)人道危機の解決
(6)民間人と捕虜の保護
(7)原子力発電所の安全確保
(8)戦略的リスクの減少
(9)食糧の国外輸送の保障
(10)一方的制裁の停止
(11)産業チェーン・サプライチェーンの安定確保
(12)戦後復興の推進
さらに中国は、「和平交渉プラットフォームの設立やロシア・ウクライナ間の捕虜交換、戦後復興の推進支援に役割を発揮する」と明らかにしている。
この発表に先立ち、中国外交トップの王毅氏は。2月18日に開かれたミュンヘン安全保障会議において「ウクライナ危機の政治的解決について、中国の立場を前面に出し、平和と対話の側を堅持する。我々は火に油を注ぐようなことはせず、この危機から利益を得ることには反対である」と述べたという。
「ロシア軍が撤退することが必要」
この提案について、ウクライナのクレバ外相は歓迎したが、一方でウクライナの国家安全保障・防衛評議会のオレクシー・ダニロフ事務局長は、「どんな将来の和平案も、ロシアがウクライナの全領土から軍を撤退させることを必要とする」と繰り返し述べている。
またダニロフ事務局長は、「中国の和平案を成功させるためには、ウクライナの主権、独立、領土保全を回復させることが必要だ」とツイッターに投稿した。
一方、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は3月20日、ウクライナ紛争を終結させるための中国の和平案に懐疑的な見方を示し、ウクライナに駐留するロシア軍を助けるための「時間稼ぎ戦術」の可能性があると警告。次のように述べた。
「世界は、中国やその他の国の支援を受けたロシアが、自国の条件で戦争を凍結させるための戦術的な動きに騙されるべきではない」
またブリンケン国務長官は「国際刑事裁判所がプーチン大統領に逮捕状を出した後、習近平国家主席がロシアを訪問したことは、中国政府がウクライナでの残虐行為についてロシア政府の責任を問うべきだとは考えていないことを示唆している」と述べたという。(了)
出典元:The Guardian:US warns world ‘should not be fooled’ by Xi’s ‘peace’ proposal as Chinese leader meets ‘dear friend’ Putin – as it happened(3/20)
参考:中华人民共和国外交部:关于政治解决乌克兰危机的中国立场(2/24)