イスラエルのネタニヤフ首相に国内から批判、辞任を求める声も
パレスチナ武装勢力「ハマス」への対応を巡り、イスラエルのネタニヤフ首相に国内で批判の声が寄せられている。
軍や政治家、諜報機関の元幹部が批判
実際に、イスラエル軍や政治家、諜報機関の元幹部などが、10月7日に起きた「ハマス」の襲撃への対応について、ネタニヤフ首相のリーダーシップに疑念を表明したという。
エフード・バラク前首相は、「オブザーバー」紙に対し、「ハマス」のテロ攻撃を「イスラエルが建国以来、今日まで受けてきた最も深刻な打撃」と語り、次のように述べた。
「ネタニヤフ首相の任期中に、このような壊滅的な事件が起きたというのに、国民がネタニヤフ首相を信頼しているとは思えない」
またイスラエル国防軍の元参謀長は、ネタニヤフ首相は「今すぐ辞任すべきだ」と述べ、元諜報機関の幹部は、「政府が機能不全に陥っている」と断じた。
人質解放を巡り国内で議論に
今、イスラエルでは、ガザ地区で「ハマス」が拘束している約200人の人質の一部を解放しようとする政府の試みに対して、懸念が高まっているという。
人質にされた家族の中には、ガザ地区へ地上侵攻する前に、「ハマス」と交渉するよう政府に懇願する者もいるが、「ハマス」の指導部を壊滅させるための解決策は、即時軍事作戦しかないと主張する者もいるそうだ。
今回のネタニヤフ首相への批判は、国内でそんな議論が沸騰している最中に出てきたとされている。
以前から批判を浴びていた
バラク前首相は、「ハマス」の襲撃への対応について、次のように述べている。
「これはいくつかのレベルで怠慢と失敗であったことは明らかだ。過去1年、おそらくもっと前から行われていた準備に従わなかったのは、情報機関の怠慢だ。何が本当に起こったのかをその場で判断するのは容易ではないが、国民が軍と政治指導部の両方に対する信頼を失ったことは確かだ」
16年以上首相を務めているネタニヤフ首相は、「ハマス」の襲撃以前から、国民の多くや、元軍指導部や他の元政府高官たちから、イスラエルの司法を抜本的に改革しようとする取り組みについて、広く批判を浴びていたという。
またネタニヤフ首相は、詐欺、公の信頼への違反、賄賂の受け取りなど、さまざまな罪状で裁判に巻き込まれているが、そのすべてを否定している。
しかし最近の世論調査では、イスラエル国民の80%がネタニヤフ首相に、「ハマス」の襲撃を許した失敗の責任を取ることを望んでいることが判明したという。
また今月初めの別の世論調査では、56%の人が、戦争終結後にネタニヤフ首相は辞任すべきだと答えたそうだ。(了)
出典元:The Guardian:Netanyahu told to ‘quit now’ as ex-leaders pin blame on dysfunctional government(10/22)