中国に生息するオオサンショウウオ、食料としての需要が高まり絶滅の危機に
食料としての需要を満たすため、中国のオオサンショウウオが絶滅の危機に瀕していることが、明らかにされた。
食料として需要が高まっている
そのサンショウウオとは「チュウゴクオオサンショウウオ(Chinese giant salamander)」。約1億7000万年から生息している世界で最も大きな両生類とされ、約1.8mにまで成長するという。
中国ではこのオオサンショウウオを食べる文化があり、野生で捕獲されたものが養殖場で保管され、その後市場へ出回るそうだ。実際、大きいものだと1500ドル(約16万円)で取引されるとか。
しかし近年、高まる需要を満たすため、「チュウゴクオオサンショウウオ」の数は減少し、絶滅の危機にあることが調査によって明らかとなった。
4年間、97地点で生息数を調査
その調査を行ったのは、イギリスのロンドン動物学会(Zoological Society of London:ZSL)の研究チーム。
彼らは4年に渡って、中国の23省(BBCでは16省)にある97地点で、「チュウゴクオオサンショウウオ」の生息数を調査。
その結果、人間が食べ物として消費するために驚く程の短期間で、生息数が破滅的な影響を受けていることが判明したという。
学会のSamuel Turvey博士も次のように語っている。「緊急の問題として、協力的な保護の手段を講じなければ、世界で最も大きい両生類の未来は、深刻な危機に陥るでしょう」
自然に戻すも意外な事態に陥る
実は「チュウゴクオオサンショウウオ」はすでに国際自然保護連合において、絶滅が危惧される種としてレッドリストに登録されているという。
また中国政府も公式には野生のオオサンショウウオを捕獲することは禁止し、保護する手段として養殖されたオオサンショウウオを自然に帰すことも支援しているそうだ。
しかし皮肉なことに、自然に戻されたサンショウウオが野生のものと遺伝的に交わることで、病気が発生し、広がっていると言われている。
Kunming Institute of ZoologyのFang Yan博士は、次のように述べている。
「恐竜の時代にまでさかのぼる、これらの驚くべき生物のユニークな遺伝子の血統を守るために、状況に合わせた安全措置が制定されることが重要なのです」(了)
※アイキャッチは「二ホンオオサンショウウオ」。
出典元:METRO:Iconic giant salamanders will go extinct unless greedy humans stop eating them, scientists warn(5/22)
出典元:BBC:‘Living fossil’ giant salamander heading for extinction(5/22)