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未来の治療を変えるか?傷口を1分間でふさいでしまう驚異的なジェルを開発

未来の治療を変えるか?傷口を1分間でふさいでしまう驚異的なジェルを開発
The University of Sydney

開いた傷口を信じられないほどの短時間でふさいでしまうジェル状、または液体状の医療用接着剤が開発され、注目を集めているのをご存知だろうか。

 

表面だけでなく体内部の傷にも有効

 

その接着剤とは「MeTro」。開発を進めているのはオーストラリアにあるシドニー大学や、アメリカにある複数の大学の研究者たち。

 

「MeTro」は高い弾力性を誇る医療用シーラントでできており、傷口につけると拡大し、通常の医療用ホチキスや縫合の必要もなく、開いた組織を塞ぐという。

 

驚くのはその早さだ。「MeTro」は一度UVライトを当てると、約60秒で傷口を塞ぐと言われている。

 

しかもこれが有効なのは、体の表面にできた傷だけではない。体液に満たされシーラントの効果が抑制される箇所や、人の手が届かない体の内部の傷でも有効に機能するそうだ。

 

実際にマウスやブタの実験でも、再び傷が開くリスクもなく、肺の傷口を塞いだとされている。

 

YouTubeThe University of Sydney

内蔵された酵素が分解する時間を決める

 

この「MeTro」には分解されていく酵素が組み込まれているという。酵素にはシーラントがどのくらい長く機能するかを決める働きがあり、傷を癒すのに十分な時間を確保するため、数時間から数カ月の間で変更も可能だという。

 

ハーバート大学医学大学院のKhademhosseini教授も次のように語っている。

 

「MeTroは傷が癒されるのに必要な期間、安定しているように見えます。その後、それは有毒な兆候を示すことなく分解されていきます。それは肺や血管の縫合やホチキスのいらない対応を越えた、非常に多彩で効果的な医療用シーラントの要件をすべて満たしています。」

 

また開発に携わったシドニー大学のAnthony Weiss教授も、次のように語っている。

 

「MeTroを見る時、人はそれが液体のように作用し、傷口に満たされていき、やがて傷口の形に適合していくのを目にすることができます。それは生物学的に、よい反応を示します。傷を治すのを促すため、人間の組織と密接に連結します。そのジェルは簡単に蓄えられ、傷口や穴に直接流れ込ませるのです」

 

研究者らは現在、「MeTro」を使った人間へのテストを準備しており、成功すれば実際の医療現場で利用されることを願っているという。(了)

 

 

出典元:The University of Sydney:‘Squirtable’ elastic glue seals wounds in 60 seconds(2017/10/5)

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