水中から地上へ進出した初期の古代生物、南極圏にも生息していたことが判明
新しく発見された化石によって、地上で暮らし始めた生物のいくつかの種が、南極圏にも住んでいたことが明らかとなった。
ゴンドワナ大陸の南極圏に生息
そもそもワニと魚との中間に位置する4本足の動物は、約3億6000万年前のデボン紀に生息していたという。
そしてこれまでこの4本足の生物は、当時あったとされる超大陸「ローラシア大陸(後に北米とグリーンランド、ヨーロッパに分かれる)」の熱帯環境下で誕生したと考えられてきたそうだ。
しかし今回、南アフリカ共和国で発見されたこれら2種の化石は、もう1つの超大陸「ゴンドワナ大陸(現在の南アメリカとアフリカ、南極などを含む)」にあったと考えられ、その大陸の一部は当時南緯70度以上の南極圏(南緯66度以南)に属していたとされている。
当時、そのエリアは氷に覆われておらず、発見された植物の化石から森が広がっていたことも確認されているという。ただし冬の数カ月間、この地域は完全な闇に覆われた状態が続いたとも考えられているそうだ。
ワニのような頭に、ずんぐりとした足
今回発見された2種の化石は「Tutusius umlambo」と「Umzantsia amazana」名付けられ、両方ともデボン紀に暮らしていた他の4本足の生物と似たタイプで、ワニのような頭をし、ずんぐりとした足、魚のようなヒレや尻尾があったという。
また化石は不完全だったものの、この生物の大きさは約1mあったと考えられ(Umzantsiaはやや小さい)、アフリカで発見された脊椎動物の中でも最初期の化石と考えられるそうだ。
さらにこれらの4本足の動物は、デボン紀には世界中に広がって生息していたことを示唆しており、水中から陸上へと進出した遠い祖先の進化について、さまざまな洞察を与えてくれるとしている。
この化石の研究に当たった南アフリカ、Albany博物館のRobert Gess博士は、次のように語っている。
「以前発見されたデボン紀の4本足の生物は全て、当時熱帯だった地域で見つかったものでした。一方で今回の化石の標本は、南極圏内に住んでいました。だから、彼らがどこにでも生息していたことや、またどんな地上でも移動できた、と言うことができるのです。それは本当に可能性の範囲を広げたのです」(了)
出典元:INDEPENDENT:Some of the first animals to walk on land lived in Antarctica, scientists find(6/7)
出典元:PHY ORG:First tetrapods of Africa lived within the Devonian Antarctic Circle(6/7)