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謎の天体「オウムアムア」の正体とは?有機物の外層が氷を閉じ込めていた

謎の天体「オウムアムア」の正体とは?有機物の外層が氷を閉じ込めていた
Queen’s University

太陽系内で特定された史上初の恒星間天体の「オウムアムア」。この調査が天文学者のチームによって進められ、いくつかの新しい発見が報告された。

 

天文学者の国際チームによる調査

 

別の恒星系から飛来し、太陽系内を移動していた「オウムアムア(ハワイ語で使者の意味)」は、10月に地球に接近していることが発見されたという。

 

全長は約400m、幅は約40mで、細長い葉巻型をしているが、このような形状の小惑星はこれまでに1つも見つかっておらず、どこから飛来したかは不明とされている。

 

イギリスのベルファストにあるクィーンズ大学のAlan Fitzsimmons教授とMichele Bannister博士は、この奇妙な物体の情報を得るため、世界中の天文学者のチームを率いて調査を行ってきた。

 

その調査チームはイギリスやアメリカ、カナダ、台湾、チリの天文学者に加え、クィーンズ大学からの7人の研究者によって構成されたそうだ。

Queen’s University

表面の有機物の層が氷の蒸発を防ぐ

 

研究者らは「オウムアムア」がどのように太陽の光を反射させているかを調べた結果、これが乾いた外層に覆われた氷の物体と似たものであることを発見したという。

 

また「オウムアムア」は数百万年から数十億年もの間、宇宙線に曝され続け、表面には断熱の役割を果たす有機物を含んだ層が形成されていることも明らかになったそうだ。

 

これらの調査結果は先週、科学誌「Nature Astronomy」において発表されたが、そこでは乾いた外殻が内部にある氷の気化を防いでいる可能性について言及されている。

 

Fitzsimmons教授はその中で次のようにコメントしている。

 

「私たちはオウムアムアの表面が、炭素を多く含んだ氷に覆われた太陽系の小天体に類似しており、その構造は宇宙線に曝されることによって変形しているのを発見しました」

 

「また物体の表面が豊富な有機物によって約50cmの厚さまでコーティングされており、太陽によって物体が摂氏300度まで熱せられた時には、彗星のように内部に多く含まれた水分が蒸発するのを防いでいる可能性があることも発見しました」

 

惑星系の初期に作られた微惑星

 

またMichele Bannister博士と彼女の研究チームは、世界で最も大きな天体望遠鏡で「オウムアムア」を観測したが、その結果、この物体が太陽系の外れにある凍った小惑星と同じ色であることを突き止めたという。

 

このことは銀河にある異なった惑星系が、太陽系にあるような小惑星を含んでいる可能性があることを表しているそうだ。Bannister博士は次のように述べている。

 

「私たちはこの物体が、よく焼けた外層を含んだ微惑星(惑星系初期に形成される)であることを発見しました。それは灰色っぽい赤色を浮かべ、長く伸ばされていました」

 

「最初の恒星間移動の物体が、私たちの太陽系の小さな世界と非常に似ていると明らかになったことは、素晴らしい魅惑的なことです。このことは私たちの惑星や隕石の形作られていく方法が、他の恒星系においても非常に近親性を持つことを表しています」

 

Bannister博士は今後も、この「オウムアムア」を調査し続け、近い将来にはさらなる発見ができることを願っているという。

 

尚、「オウムアムア」はこれまでにない形状から、内部に宇宙人が乗っている宇宙探査機ではないかという憶測を呼び、あるグループが電波信号の有無を探っていたが。人工的な信号は何も見つからなかったそうだ。(了)

 

出典元:Queen’s University:ALIEN OBJECT ‘OUMUAMUA WAS A NATURAL BODY VISITING FROM ANOTHER SOLAR SYSTEM – QUEEN’S SCIENTISTS(12/15)

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